テイジン ポリエステル

「タイを一大複合事業拠点に」
社長 堀井 哲也

《プロフィール》
ほりい てつや
■滋賀県大津市出身。神戸大学卒業。1991年帝人(株)入社、1997~03年、Teijin Indonesia Fiber Co. (インドネシア)出向。
2011~14年TPL(タイ)出向、14~16年帝人中国投資公司(上海)出向、17年4月より現職
■趣味:スキューバダイビング
■尊敬する人物:Tatang Hermawan (インドネシアの大華僑)
■バンコクの行きつけの店:かき小屋
■愛用の腕時計:Tag Heuer
■休日の過ごし方:3日以上休みが取れれば、島へ旅行に

 


 

50周年という大きな節目を迎えられました
早くから国際分業が進んでいた繊維産業として、東南アジアの中央というタイの地の利を生かし、50年にわたり事業を継続することができました。タイの皆様に感謝しております。これからも地域貢献、マーケット拡大に向け、邁進していきたいと思っています。

 

タイがグローバル生産拠点となった経緯は
コストダウンもありますが、日系製造業及びサプライチェーンがASEAN地域に多く進出し、われわれ供給側も本格的に生産体制を整える必要が出てきました。お客様も進出直後はシンプルなものから製造を始めるため、原料もそれに応えらえるものでよいのですが、メーカー各社の技術革新により製品レベルが上がり、用途も拡大してきています。

 

より高性能、高品質原料を求めるニーズも高まったため、日本の国内工場から主要銘柄の生産移管を20年かけて進めてきました。そのゴールが見えてきているところですね。ポリエステルに関してはTJTという生産会社がもうひとつアユタヤにあるのですが、その敷地内で他事業も含めた投資を予定しています。アラミド繊維の工場もすでに稼働していますし、タイヤコード、織物、樹脂など、多種多様な分野を有する複合事業拠点になっていくと思います。

 

素材が求められているところは
特に、不織布の原料需要が拡大しています。織りや編みの工程を省き、繊維を絡ませるだけでシートになるポリエステル不織布は、スピードとコストの面で大幅な削減ができる非常に画期的な素材なんですね。

 

経済レベルの向上で、世界的に紙おむつや生理用品など衛生材料の需要が高まっていますし、高齢化で大人用おむつも加速度的に伸びています。逆浸透膜もいい例ですね。世界で一番不足している資源は“水”といわれることもありますし、水フィルター用途も拡大していくでしょう。

 

価格設定の狙いは?
タイ国内では、62Bから185Bと幅広い価格帯を設定しています。食材の質を大切にしているからこそ、大きく価格を下げられないのですが、出来る限り多くの人にご利用してもらえるように寄り添えればと思います。

 

研究開発拠点をタイに開設するそうですね
TPLも一定の開発機能を持ってはいましたが、基本的に技術は日本から持込み、タイで生産するという方法を採っていました。しかし世界の中でASEANの位置づけが大きくなってきたことで、研究開発にもより高度な技術とスピードが求められるようになりました。

 

研究所をどこに据えるかという議論になったとき、折よく、タイ政府主導で民間の研究開発の集積体(サイエンス・パーク)からのお誘いがありました。

 

ひとつの会社で研究開発を進めるより、研究に携わる人、機関、企業が一挙に集まる場所の方が、多方面から情報を得ることができます。これまで別々に機能していたものが出会う場では、新しいものが生まれる可能性が高い。“複合”や“組合せ”は、とても大切なことだと思うんですね。新設の研究所は、新しいニーズや次世代の“種”を見つける独立した機関として機能することを期待しています。

 

TPLが目指していく姿とは
“だけじゃないテイジン”というキャッチフレーズもありますが、ひと言では表すことができない、多様性があり可能性に満ちた企業を目指して行きたいと考えています。

 

ポリエステルは非常に優れた素材です。10年や20年では、総合的に同素材に代わるものは出てこないでしょう。しかし、特定分野に生かせる素材が研究所から生まれ、弊社工場で生産されることもあるかもしれません。また、繊維だけを作るのではなく、同業他社に委託しOEM生産も行う、そんな試みがあっても良いのではないでしょうか。

 

新業態への展開もしていきたいと考えており、敷地内に小規模ながら不織布工場を立ち上げました。繊維メーカーとしての使命は果たしつつ、それを逸脱する。あくまで挑戦を続けていきたいと思っています。

 

2017年12月に行われた50周年記念パーティーで、ラチャプルックの苗を贈るチャナティップ選手(コンサドーレ札幌)と堀井氏

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