AIOI BANGKOK INSURANCE PCL

走行距離連動型自動車保険を開発
自動車保険でトップ10入りを目指す
社長 上形 栄良 

《プロフィール》
かみがた・ひでよし

■1962年生まれ。東京都出身。85年、入社。米国・ケンタッキーの初代駐在員となり、その後、中国・天津を経て、2015年にタイ赴任。
■バンコクの行きつけのお店:笹弥(シーロム店)、屋台
■愛用の時計:シチズン
■愛用のバッグ:TUMI
■よく見るウェブサイト:日経電子版、NFLのサイト
■休日の過ごし方:ゴルフ、エクササイズ
■社用車または愛車:LEXUS ES、PRIUS α


 

タイ進出はかなり古いと聞きます
最初は保険会社という形ではなく、保険ブローカーという形で約50年前に進出。2005年に当時のウィルソン損害保険会社に出資し、保険会社としても進出しました。

 

成長の背景を教えてください
07年、タイトヨタとF&I(Finance & Insurance)マネージャープロジェクトを立ち上げました。これは、トヨタディーラーでお客様が車両を購入する際、どうしたらスムーズに自動車保険にご加入いただけるかというもの。ディーラーは非常に重要なチャネルパートナーだと位置づけています。強みの「自動車保険を利用した事故車両の入庫誘導による、お客様の利便性の向上とディーラー支援」を前面に押し出し、地道にアピールを続けてきました。

 

転機はいつでしたか
11年~12年、初めて車両を購入する人を対象とした「マイカー減税策」により、爆発的に車が売れ、自動車保険も市場が拡大しました。当社もその期間は前年から倍増しましたね。

 

ここ数年、自動車業界は売れ行きが低調です
自動車保険は1年契約ですので、継続を続けていけば、翌年に新規加入者が減少してもトータルでは減収しない仕組みになっています。そのためには継続件数を維持しなければいけないので、いろいろな施策に取り組み、昨年はかなり向上しました。車両販売が厳しい状況下では保険料収入の大幅な上昇は期待できないのですが、収益を残せるように社内改革を実行。今後も新たな施策を考えていますので、徐々に上向くのではないかと思っています。

 

自動車販売は回復傾向だと言われています
マイカー減税で購入した自動車は5年間転売ができませんので、2017年以降の転売が可能になる期間に入れば、かなり回復するとみています。

 

05年に進出以来、急速にマーケットシェアを伸ばされてきましたが、現在の状況はどうでしょうか
トヨタディーラービジネスにおいて、日系損害保険会社ではトップシェアで、タイ系損保会社を含めても2番手のシェアです。弊社の商品別構成では、自動車保険が約65%を占めます。日系企業の皆様に対しては、火災保険、賠償責任保険、海上保険、傷害保険を提供させていただいており、こちらは全体の約20%を占めています。

 

ディーラーはローカルですよね。苦労があると思います
昔からディーラーの皆様とは親しく付き合わさせていただいています。ただ、飛行機で行けない地域もあり、車で往復10時間かけて移動、現地では面談するのが2時間といったことも。日帰りのケースがほとんどなので大変ですね。

 

社員との信頼関係も構築されていますか
赴任当初、すべてのスタッフと面談をしました。300人弱いるのですが、一人20~30分で、だいたい2ヵ月くらいかかりましたね。日本人とタイ人の壁をなくすために意見を聞き、そして要望事項を叶えてあげるよう、努力もしました。

 

今後の課題についてはどう考えていますか
まず、今年3月に「走行距離連動型自動車保険」の認可を取ることができました。これは走行距離に応じた自動車保険で、走行した距離に応じて保険料が設定される新しい形の保険です。この新商品の販促が課題の一つ。併せて弊社は多くの国でトヨタ自動車と連携して自動車保険を販売しているため、国ごとにさまざまなノウハウを持っています。今後も他国で上手くいっている事例を、タイに導入したいと考えています。

 

これまでの赴任歴を教えてください
米国、中国、そしてタイは15年に赴任しました。いずれもトヨタ自動車が工場を持たれている場所。米国ケンタッキーでは初代駐在員として赴任し、いちから苦労しながら立ち上げたことはいい経験でした。

 

トヨタと一緒に歩んできたキャリアですね
入社6年目からのお付き合いです。さまざまな部署の方々とお会いし勉強させていただきました。ワイズさんでも連載している「トヨタの仕事」(P24)の考え方を学び、今も染み付いています。

 

休みの過ごし方は
ゴルフやエクササイズに行きます。あとタイはマッサージが安くて、うれしいですね。食事もおいしいので、よく屋台で買って自宅で食べています。

 


 

編集後記
アメリカ、中国、タイとトヨタとともに歩んできた上形社長のキャリア。タイでもその関係性は深く、コンペなども定期的に開催。自然と身についたのが、トヨタ流の仕事術だった。「彼らが望む以上のレベル、メンタリティが求められました」と振り返る上形社長の努力は計り知れない。そして、ようやく低迷していた自動車産業も暗雲から抜けようとしている。タイ初の新商品も認可され、見通しも明るい。製造業の一大集積地で、さらなる成長が期待される。(武)

この記事をSNSでシェア!

一番上へ戻る