近鉄 エクスプレス(タイランド)「社員を“一丸”にするのが私の使命」 山下 晋

「社員を“一丸”にするのが私の使命」

《プロフィール》
プレジデント
山下 晋
やました しん
■1971年生まれ、東京都出身。日本大学卒業後、1994年4月に近畿エクスプレス入社。輸入営業部門、タイでの研修と駐在などを経て2019年5月より現職。
■座右の銘:小欲知足
■愛読書:臨3311に乗れ(城山三郎)、ビジネス書など
■趣味:ランニング
■よく見るウェブサイト:国内外のニュース系サイト
■休日の過ごし方:ジム、ゴルフなど
■バンコクの行きつけ店:近所の喫茶店


タイ赴任は3回目ですね

最初は入社5年目の1998年9月から約2年間、研修という形で赴任しました。空港で荷物の搬入、搬出作業などを行い、タイ人スタッフ達と汗を流していましたね。

 

当時は携帯電話すらなかった時代で、従業員同士の連絡はもっぱらトランシーバーでした。タイ語が不自由だったので、コミュニケーションを取るのが難しかったです。意思疎通を円滑に図るには、実際に会った方が手っ取り早いので、二輪車に乗って相手の現場を訪れ、そこでよく直接会話したものです。

 

そうやってタイ人と話していると、彼らの考え方や、置かれている環境がわかってくるんですね。余談ですが、彼らが休日に会社へ来るのは、実はエアコンの涼しい風が目当ての場合があったりします。2回目は2005年2月から12年3月のおよそ7年間ですね。この間、近鉄エクスプレス(タイランド)はTKKロジスティクスと統合し、倉庫事業やトラック輸送、自社での梱包機能などサービスの拡充を図りました。これは当社にとって大きな武器になるんですね。

 

というのも、航空・海上輸送と合わせれば、工場設備の輸入から設置、解体、材料の調達、製品の保管・輸出まで一気通貫で物流関係の仕事を手掛けられるようになるからです。そして今年5月から、タイに再び赴任することになりました。「まさか3回目は無いだろう」と思っていたのが正直なところです。当社でそんな前例はありませんから。ただ、タイという国は好きなので、驚きはしたものの、抵抗はありませんでした。

 

今回の着任で成し遂げたいことは

TKKロジスティクスの統合から8年が経ちましたが、各従業員が別々の方向を向いて仕事をしているように感じることがあります。1400人の大所帯になったわけですから、統率が取りづらいのは致し方ありません。しかし、やはり皆がビジョンを共有できている状態が望ましいでしょう。

 

私はタイの物流現場で働いた経験もあり、統合前後の当社を知る唯一の日本人でもあります。近鉄エクスプレス(タイランド)とTKKロジスティクスという2つの会社のことはよく理解しているつもりですし、過去に2回タイに赴任しているので、その経験を活かして会社の風通しを良くすることで、全社で一致団結できるような組織にしたいですね。

 

個人的には、タイ人は日本人に近い感覚を持っているので、一緒に仕事をしやすいと感じています。現地スタッフとのコミュニケーションで失敗する一番の要因は、こちらが一方的に意見を言ってしまうことです。タイ人の考え方をリスペクトし、肩書がどうあれ、対等な立場で話をすれば、必ず相互理解が深まります。彼らには彼らのロジックがありますから、まずはそこに耳を傾けなければならないでしょう。

 

事業戦略についてお聞かせ下さい

当社の業績は、主力の輸出事業によって大きく左右されます。特に売上比率の大きい部品輸出は頭打ちの傾向にあるため、新たな柱を作る必要があるでしょう。

そこで現在、タイ現地のクライアントに向けた輸入事業の拡大を図ろうと検討を重ねています。タイは輸出国家なので、製造するための原料や材料の輸入も盛んです。生産の川上側を握れば、その後の輸出にも当社が関わるチャンスが出てくるでしょう。私は日本では永らく輸入の営業に携わってきたので、輸入事業のセールスノウハウはあると自負しています。社内に共有し、営業戦略へ活用したいですね。

 

また、当社の強みである海外ネットワークも活かせればと考えています。特に弊社グループは欧米系企業との取引にも強みがあるので、欧米―タイの事業で新規開拓を進めていきたいです。もちろん、タイのローカル企業への開拓も引き続き行っていきます。TKKロジスティクスとの統合で日系企業以外にもアクセスしやすくはなりましたが、まだまだ余地はあるでしょう。

 

6月28日に開催した現法創立記念セレモニーに参加する山下氏(一番右)

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