JETRO 日本貿易振興機構「正しい情報と、皆さんの声を届ける」 竹谷 厚

「正しい情報と、皆さんの声を届ける」

《プロフィール》
バンコク事務所 所長
竹谷 厚
たけたに・あつし
■1967年生まれ、大阪府出身。東京大学を卒業後、90年に通商産業省(当時)に入省。スタンフォード大学大学院留学、在米国日本大使館勤務などを経て2019年から現職。
■座右の銘:至誠通天
■尊敬する人物:ブッダ、ガンジー等多数の方々
■趣味:スポーツ全般
■愛用の腕時計:結婚時に妻からもらったバーバリー
■愛用の鞄:バンコク赴任に際して購入した「TUMI」
■休日の過ごし方:水泳、ゴルフの練習、バンコクの街歩き


連日、新型コロナウイルスに関する
ニュースが飛び交っています

入国規制など世界的に往来が困難な状況の中で、JETROバンコク事務所の役割として今もっとも重要なのは、タイと日本の経済活動が滞らないように“正確な情報を掴み、迅速に伝えること”だと感じています。

 

また、伝えるというのは我々から日系企業側へだけでsなく、今回の新型コロナウイルスの影響により日系企業の現場でどんな問題が起きているか。アンケートをとり、その声をタイの副首相以下の要人に直接お伝えしています。早期収束を願うのはもちろんですが、事態は急速に変化し、楽観を許さない状況であり、厳しい環境に置かれた企業をいかに支えるか。収束後、どのように経済を復興させるかも含めて自問自答の日々です。

 

改めて、同事務所の役割とは

開設から65年。私は2019年7月から現職に就きましたが、タイの政府や財界の要人の中でも日本の存在感が強いことを実感しています。この10年でタイ、特にバンコクは大きな成長を遂げ、それに伴い我々の役割も変わってきています。先にも述べましたが、正しい情報を発信し、皆さんのビジネスが円滑に進むようサポートすることが今まで以上に求められるでしょう。

 

ただ、もっとも大きな役割は“日本とタイの経済発展を促進する”こと。日本とタイが共に発展できるような“Win–Winな関係”をもたらすのが我々の使命です。具体的には、日本の農林水産物や食品の輸出促進、日本にある中小企業の海外展開支援、外国企業の日本への投資促進が大きな柱になっています。

 

中小企業への進出支援も手厚いと

日本からタイ市場への興味は尽きません。数字的な面で見ると、17年の最新調査ではタイにおける日系企業数は5444社、19年の当事務所への進出関連の問い合わせは3117件、当サポートセンターへの訪問は6296人と日々何かしらのやりとりがあります。そのため、タイにまだ足場となる事務所がない方々は、ぜひ当事務所が設ける「ビジネスサポートセンター」をご活用頂きたいです。非常に安い値段でレンタルオフィスとして利用でき、同時にワークパーミットの取得も可能です。またタイの法律や税務、労務、税関の手続きの他、工業団地の現状など我々が持っているタイの情報を最大限、提供しています。

 

タイと日本の地方を繋ぐ取り組みもあると伺いました

タイ政府から地方産業を伸ばしたい、特に観光業と農業に力を入れたいという相談を受けたことがきっかけです。日本では「地方創生」をキーワードに、各地で再開発やオリジナリティ溢れるキャラクターづくりといった振興事業が行われてきたので、その成功事例を伝えるセミナーを昨年開催しました。

 

今後、タイ人の観光事業関係者を日本に招き、各地の取り組みに触れる機会も設けたいと考えています。また、タイの要人を日本に招いてタイへの投資セミナーを行ったり、日本各地でタイという魅力的な市場を伝えるべく我々自身が日本各地でセミナーを行っています。

 

今後のタイ市場への期待値は

タイは昨年の米中貿易摩擦から、経済成長の鈍化など明るくない話題が続いていますが、日本食レストランに関してはバンコク都内に集中していた店舗が郊外へも進出するなど新たな動きがあり、今後さらなる市場拡大が期待できると考えています。

 

加えて、高齢化が進むタイに向けた健康・医療産業や、「タイランド4.0」に伴う先端的な産業もより一層の需要が期待されますね。日系企業としては、既存の投資をいかに活用していくかがポイントではないでしょうか。これまでの数々の実績により、タイにおけるビジネスの土台とネットワークはすでに構築されています。

 

築き上げてきた製品やサービスが融合することで、新たなビジネスチャンスを生み出す段階に来ていると感じています。我々としては常に皆さんの声を聞き、ベストを提案することが第一。時代によって変化する要望に応え続けていきます。

 

2020年初出勤日の羽織袴姿。「事態が収束し、早く日本をPRできるよう望んでいます」

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