タイぺんてる

AECを見据えたグローバル拠点形成へ

マネージングダイレクター 鈴木 邦明

《プロフィール》 1963年11月生まれ。86年獨協大学卒。ぺんてる入社。92年イギリスぺんてる、95年ぺんてるベルックス(ベルギー)設立に携わる、97年ユーロぺんてる(フランス)、2000年本社海外営業本部(アジア担当)、02年南アフリカぺんてる、13年タイぺんてる、現在に至る。
 

「AEC発足を見据え、組織の大改革に着手します」

―昨年(2013年)でタイ進出30周年を迎えたと聞きました

 おかげさまで30周年を迎えました。業績の方も、2013年12月末現在で、対前年比106%を達成しています。会計年度が4月〜3月なので、油断はできませんが、反政府デモによる影響もわずかにはあるものの、目標は達成できると予想しています。



業績好調の要因はなんですか?

 サムットプラカーン県の工場が稼働して5年が経ちました。現在は、主にクレヨンの一種であるオイルパステルと修正液を生産し、タイ国内で地産地消を実現させました。 なかでもオイルパステルは、全世界で好調に販売されたことで輸出が順調に伸びました。このタイ工場をASEAN(アセアン)の地産地消工場に成長させるのが目下の課題です。



タイ国内販売も、好調のようですね

 油断はできませんが、今のところ順調に推移しています。ただ、中国製やローカルメーカーの商品は価格が安く、数量では勝てません。それでも、品質を買われ、多くの学校から指定を受け、納品させてもらい、たくさんの一般消費者にもご愛用いただいております。

流通の仕組みの違いによる影響もあります。タイでは量販店販売がメインの日本市場とは異なり、いまでも卸業者を通す手法が主流で、半数くらいが卸を通した取引となっているんです。つまり、現在の日本のように量販店や小売側が価格決定権を持つことによる低価格販売が少なく、それだけ市場価格が安定しているのです。 こうした流通体系は、当分の間は変わらないでしょう。メーカーにとって、価格が安定すれば、販売予測に基づく計画生産が可能となり、経営の安定化につながります。正確な市場占有率の数値はわかりませんが、タイ国内の年間出生数は約80万人と言われ、パステルの年間販売数は、その数を超えています。ざっくりですが、国内シェアは3〜4割程度ではないでしょうか。



タイと日本で、取り扱い商品の違いはありますか?

 商品は、ほぼ同じです。細かい商品を入れると約500種類を扱っています。シャープペンやボールペンなど筆記具に関しては、日本からの輸入品です。将来的には、もう少し現地生産の商品を増やそうと考えています。少しPRとなりますが、弊社では「エナージェル」という水性ボールペンを売りだしています。 このペンは「書く楽しみを感じてほしい」との思いから、“持ちやすさ、滑らかさ、書きやすさ”を追求して開発しました。タイにおいても、パソコンやスマートフォンの普及で、手書きの文字を書く機会が少なくなっていると思います。そんな現代社会において、大切な人へ、心のこもった字で想いを伝えてほしいですね。



同業他社と比較して、タイ国内販売はダントツだそうですね

 中国・インド製やローカルメーカーの商品は、品質はどうであれ、価格のみの商品ですので、全く対抗できません。しかしながら、弊社は価格に見合った品質を重視する中価格販売帯のメーカーのなかではトップだと自負しています。日系の競合企業も多く進出しておりますが、弊社は進出年が古い分だけ、地の利を生かし、ローカルを巻き込んだビジネスが出来ているのだと思います。



海外畑と聞きました

 タイで5ヵ国目となります。今回の海外駐在は、子どもが受験生だったこともあり初の単身赴任です。タイは日本よりも便利だと感じますし、不自由していません。海外駐在に関しては、入社当初から希望し、初の海外駐在は1992年のイギリスでした。その後、95年ベルギー、97年フランス、日本をはさみ2002年から南アフリカで過ごしました。トータル17年が海外生活です。思い出深いのは、南アフリカのヨハネスブルグですね。お世辞にも治安は良くなく、現地の日本人は500人くらいでしたので、皆が家族のように、結束して暮らしていました。



海外ビジネスは、熟知しているわけですね

 これまでの海外経験により、“郷に入れば郷に従え”の気持ちが身についています。海外では 、とにかく相手への説明に多くの時間をかけることを心がけています。これは、組織マネージメントの基本ですね。現在、弊社は約150人(日本人出向3名)を抱えています。当たり前ですが、日本のやり方をそのまま持ち込んでも上手くはいきません。

その国にあった、最も適した手法を見つけ、採り入れることが重要です。そういった意味で、赴任から1年が経ち、今年は新組織形成への取り組みに着手できそうです。これは、15年発足予定のASEAN経済共同体(AEC)を見据えた、グローバル拠点形成への第一歩だと考えています。

 

編集後記 パソコンの普及で、筆記具を使う機会が減ったのは事実。「ぺんてる」の由来はpenと伝達の意味を表すtellを合成した造語“ペンで伝える”という意味。書く楽しみを伝えるペン「エナージェル」には、そんな同社の思いが込められている。タイ国内で業界トップを誇る同社の強みは、生産工場を持つことで可能となった世界輸出。眼前たるAEC発足を控え、先(工場)の投資は間違いないとされる。グローバル拠点に向け、海外経験抱負な鈴木氏の存在は大きい。まさに深慮遠謀たる采配。(北川 宏)

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