GMOクラウド(タイランド)

成長の原動力は、優秀なタイ人スタッフ

MD 田中 康明

《プロフィール》 1973年生まれ。千葉県出身。米国Santa Ana College卒業。アイル(現GMOクラウド)創業時に入社。2013年GMOクラウド(タイランド)を立ち上げ、MD就任。
 

成長の原動力は、優秀なタイ人スタッフ

—タイ進出も3年目ですね
2013年に進出し、3期目です。ようやく今期は、事業の黒字化のめどがつきそうです。振り返れば、進出1年目は、政情不安で開店休業のような状態でしたので、実質2年目ですよ。



—タイでの事業領域を教えてください
主に2つです。主軸はインターネットを介してソフトウエアやサーバーをレンタルするクラウド事業で、もう一つが、ウェブサイト所有者の情報・送信情報の暗号化に必要な鍵・証明書発行者の署名データ(ネット上の実印のようなもの)を持った電子証明書(SSL)の販売です。用途はさまざまですが、ネットショッピングの決済ページ、採用応募の入力ページ、問い合わせや資料請求のフォームのページなどに使われていることが多いですね。



—主軸ではない、新事業を立ち上げたと聞きました
2ヵ月ほど前からスタートしています。クラウド事業とアプリケーションを併せたソリューションサービスです。飲食店や美容・サロンといった店舗向けの集客用アプリです。エンドユーザーは、予め、アップルストアやグーグルプレイストアでお目当ての店舗のアプリをスマホに無料ダウンロードするだけです。 あとは、スマホから店を予約したり、店舗から送られてくるお得なクーポンなどを利用することができるわけです。店舗にとっては、顧客の囲い込みやデータをもとに消費者動向を掴め、さらなるサービス向上につなげることができます。日本のマクドナルド(現在はデジタル化)が割引クーポン券を発行しているのと同じです。これまでは、データ管理用にサーバー(クラウド)をレンタルしてきましたが、新事業は、レンタルを促すために、その先の活用方法(アプリ)を付加価値としてプラスしたソリューションを提供しているわけです。



—手応えはいかがでしょうか
前述した主軸のクラウドやSSLも含め、上々です。何より、タイ人ローカルスタッフが育ち、優秀なマネージャーもいます。人材に恵まれた点は、大きいでしょう。マネジメントも当初は、日本流を踏襲していましたが、いまは「タイで働かせてもらっているのだから」と感謝の意を込めた姿勢で接しています。そうすることで、ローカルスタッフとの距離も縮まり、皆が同じ目標を抱ける組織に成長しつつあります。



—GMOグループは、海外展開に力を注いでいるようですね
GMOは、グループ力で成長してきましたから、海外展開もグループ全体で推し進めます。弊社の役目は、まずは黒字化を達成し、グループ力を生かせる基盤づくりです。



—タイ進出は自らの発案と聞きました
GMOクラウドの前進「アイル」の立ち上げから携わり、これまでの成長過程において、現場の第一線に立っていました。ただ、入社前にアメリカで過ごした経験から、いずれは海外展開を模索していました。タイ進出はそれを具現化したものです。
今後は、海外展開を推進するGMOグループにどう貢献するかが至上命題です。GMOは、過去に数百億円の損を出し、窮地に立たされたことがあります。ITの世界は“ドッグイヤー”(人よりも歳を重ねるのが早い)と言われ、他の産業に比べて時代の変化が激しい業界です。固定概念に囚われれば、ガラパゴス化し、時代に取り残されます。常に進化し続けるしかないのです。



—タイ生活はいかがですか
学生時代を入れると7年が海外生活です。タイには夫婦で来ています。出張などで東南アジアは回りましたが、タイが最も住みやすいですね。今では、日本出張の際に、東京に一週間ほどいると「早くタイに戻りたい」と思うほどです。



—GMOといえば、いまやカリスマ経営者と呼ばれる熊谷正寿代表ですね
ネットベンチャー=軽いイメージを抱かれると思いますが、弊社グループには熊谷が作った社是・社訓があり、唱和することもあるんです。日本には、世界に稀にみる長寿企業が存在します。熊谷もそうした日本的な堅実性を企業理念に掲げ、成長させてきました。アイルがGMOに買収され、子会社第一号になった頃、熊谷から「オフィスを集約して渋谷のセルリアンタワーに移ってこい」と言われました。当時の私は血気盛んで、熊谷に「コストを考えればいまの場所で十分」と反発。すると熊谷は「同じ釜の飯を食い、一緒に頑張ろう」と熱く説得されたのを覚えています。熊谷は、仲間意識が強く、置かれた環境や、関わるすべての人に感謝の気持ちを忘れない人物です。現在も、私が“やりたい”と思うベクトルと会社の方向性は一致しています。あと10年は、自分の力をグループ内でどう貢献できるかを試していきたいですね。


 

編集後記


インターネットベンチャー企業の先駆けとして名を馳せるGMOグループは、ITバブル崩壊から10年以上経ったいまも成長し続けるネット企業の雄だ。その子会社第一号の同社は、クラウド事業が主体だが、タイでスタートした新事業はその垣根を超えたものだった。実質2年で黒字化への見通しをつけ、タイでの基盤を盤石にさせつつある田中氏の手腕は、さすがの一言。ベンチャースピリッツを持ちながら堅実性も兼ね備えるスタイルは、グループトップの熊谷イズムそのものなのだろう。(北川 宏)

この記事をSNSでシェア!

PAGE TOP
Top