“ミィ” 泰のビジネスを学ぶ BNK48大久保美織の挑戦【第50回】

長谷場:さて、今回からは具体的な開発計画を説明していきます。

ミィ:わー、楽しみー。

長谷場:タイ政府が発表している計画は「EECと名付けた3県(チョンブリー、チャチューンサオ、ラヨーン)の空港、港湾、鉄道、道路に加えて観光や工業分野に5年間で合計1兆7千億バーツもの投資を行う」というものです。

ミィ:1兆! 7千億!

長谷場:計画は次の9種類です。
①ウタパオ国際空港の整備
②マプタプット港の拡張(第3フェーズ)
③レムチャバン港の拡張(第3フェーズ)
④ウタパオ・スワンナプーム・ドンムアンの3つ
の国際空港を結ぶ高速鉄道の整備
⑤複線鉄道の整備
⑥高速道路の整備
⑦高度産業の誘致
⑧観光関連開発
⑨新都市・病院の開発

ミィ:すごい計画ですね。

長谷場:実は1兆7千億バーツにはタイ政府以外に国営企業や民間企業の投資も含まれています。そして民間企業の投資の中には日本を含む外国企業による工場やインフラへの投資も入っているんです。

ミィ:日本のチカラが生かされるといいですね。

長谷場:タイ政府はこのうち約1兆バーツがインフラへの投資と考えています。その中の30パーセントは政府予算から支出するけど、10パーセントは国営企業の投資、残りの60パーセントをPPP、官民連携による投資としています。

ミィ:ピーピーピー??

長谷場:Public Private Partnershipの略ですね。では、今一番早くPPPの入札手続きが進んでいる「④高速鉄道の整備」を例に説明しましょう。高速鉄道のためには電車を走らせるための土地が必要になります。この土地はタイ政府が持ち主から買い取るなどして用意します。そして、その土地の上に「民間企業が鉄道を作って高速鉄道を走らせて、お客さんから料金をもらって利益を得る」という“権利”をタイ政府が民間企業に与えるんです。

ミィ:「高速鉄道」は作った会社(民間企業)のモノではないのですか?

長谷場:分かりにくいですよね。高速鉄道は民間企業が建設するけどタイ政府の持ち物なんです。そして、今回の場合は、工事のための5年と運営のための45年間で合計50年の“運営権”が民間企業に与えられることになっています。

ミィ:運営する権利?

長谷場:つまり民間企業は、基本的には建設コストと45年間の期間で得られるであろう利益を予想して金額を考えて入札します。落札者は鉄道の所有権ではなく“運営権”をタイ政府からもらうんです。50年後には権利が終わってしまうので、その時にまた運営会社を選ぶ入札を行うことになるのではないかと思います。今まさにこの入札手続き中でして2019年1月に落札業者が決まる予定になっています。

ミィ:なるほど、PPPいい制度ですね。

長谷場:PPPは政府と民間で共同してインフラ整備を進めるという意味では良い制度なのですが弱点があるんです。それは、この制度が「プロジェクトが利益を生む」という前提になっていることなんです。儲かるから「もうかる権利」を得るために「入札金額という値段」がつくんです。

ミィ:儲けを見込んで権利を買うのですね。

長谷場:ところが全てのプロジェクトが儲かるとは限りません。例えば、今回の場合も“高速鉄道を作ったけど乗るお客さんが殆どいない”となったら落札した企業は大変な損失を被ることになってしまいます。そんな権利、誰もいらないので値段がつかなくなってしまいます。
そうならないように条件が追加されています。詳しくは次週!

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