“ミィ” 泰のビジネスを学ぶ BNK48大久保美織の挑戦【第59回】

ミィ:EECの勉強もあと2回ですね。

長谷場:実は2017年末までは10のターゲット産業に入っている事業をEEC内で行う場合、“場所に関係なく”通常の法人税免税期間に追加で5年間の法人税率半減、というのをもらうことができました。

ミィ:タイの法人税は20%ですから、通常の法人税免税期間が終わってから5年間は10%ということですね。

長谷場:ところが2018年に入ってから“事業を行う場所”と“人材育成”という条件が追加されて、さらに追加の法人税免税期間も事業ごとに異なるようになってしまいました。

ミィ:えー。厳しくなってしまったのですか?

長谷場:厳しくなった事業もあれば、有利な条件になった事業もあります。ところで、制度が変わるということは事前にアナウンスされていたのですが、“どう変わるか”という詳細が明らかになったのは“2018年8月3日”の布告でした。そして、そこには「この布告は“2018年1月1日”から2019年12月30日の間の申請に対して有効」と書かれてあったんです。

ミィ:えー。8月に出たのにその前の1月から有効なんですか!?

長谷場:はい。実はこういったことがタイではよくあるんです。前に出ていた布告の期限が終わった後、「あの件、今どうなっているんだろう?」と思っていると、しばらくして「やっと新しい布告ができたので、前の布告が切れた翌日から適用することにします」みたいな感じ。しかし、その新しいルールが決まって発表されるまでの間は実質ルールが無い(分からない)訳ですから、私の様に日系企業に情報を提供する側としては、どうなるのか分からず困ってしまう、ということになるんです。

ミィ:先生も大変なんですね。

長谷場:ちなみに12月31日はタイの公務員は休みなので、12月30日までと書いてあるんです。さて、18年8月3日に出た布告の背景を説明しますね。最初、タイ政府はチャチューンサーオ、チョンブリー、ラヨーンの3県をEECとして打ち出して、「EECにどんどん投資してください!」というスタンスでした。

ミィ:投資先はEECの3県ですね。

長谷場:それが時間の経過とともにタイ政府の中でインフラの整備や都市開発など「EEC内で具体的に何を行うか?」という計画が少しずつ明らかになってきました。これに合わせて「民間企業にどこで何をして欲しいか?」ということがハッキリしてきたため、2018年からは追加で法人税免税を与える場合、「事業を行う場所を限定することになった」ということです。

ミィ:政府が免税で企業を誘導すると。

長谷場:EECは巨大プロジェクトなので、進捗に合わせて企業誘致のための法人税免税という飴(アメ)も少しずつ変えていくみたいです。これから解説する恩典も“2019年12月30日”まで適用されるものであって、2020年以降はまだ決まっていません。EEC開発計画の進捗によって変わってくると見込まれています。

ミィ:あま~いアメが長く続くといいですね。

長谷場:そうですね。2018年の申請分からEECに投資した場合、追加でもらえる法人税の免税期間ですが、事業を行う場所によって3つのタイプに分けられます。
①特別業種奨励地区
②EEC事務局によって定められたターゲット産
業奨励地区
③EEC内でBOIの投資奨励を受けている工業
団地・工業地区

①~③の順番に少しずつ追加の法人税免税期間が短くなっていく感じです。

ミィ:タイ政府が何に力を入れているか分かりやすいですね。

長谷場:次回は「①〜③でどのような事業を行った場合、どれだけの追加の法人税免税をもらえて条件がどうなっているのか?」を解説します。

 

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