日本人初となるタイ医師免許を取得した
仲地省吾先生にお話を伺いました。

仲地省吾先生プロフィール

沖縄県出身。山口大学医学部を卒業後、同県宇部市で内科医として勤務。
アメリカがアフガニスタンを空爆した直後の2002年春から3年間、今は亡き中村哲先生のもと、ペシャワール会の医療施設(アフガン〜パキスタン国境沿いにある病院や診療所)でアフガン難民に対する医療活動に参加。
その後、2005年にタイの国立大学マヒドン大学熱帯医学大学院で勉強した後、2007年に日本人として初めてタイの医師国家試験に合格。
現在、バンコク病院内の日本人専門外来(JMS)で内科医として勤務している。

日本とタイでは診察の仕方、どのような症状を診察していますか?

(疾患の内容は)ほとんど変わりませんし、使っている薬も日本と同じです。私の患者は9割以上が男性駐在員で、主に成人病の診療をしています。
私の若い頃に比べ、中年層の体重の増加や運動不足、高血圧、糖尿病、高脂血症が激増しているのが心配です。
これからは、規則正しい勤務時間に仕事を終え、適度に運動をし、食事の内容にもっと気をつける生活スタイルに変えていく必要があると思います。

日本とタイの医療に違いはありますか?

治療や診察、処方薬の内容に違いはほとんどありません。あるとすれば、医療制度(薬の安全性の確認、薬の認可、治験など)や処方する薬の量に多少違いはあります。

タイの医療費や保険制度について

タイは日本のようにすべての医療費が無料で、完璧な治療が受けられるという環境ではありません。
タイの病院は自由診療なので、(どこの病院を受診するかによって)医療費は変わってくるのでしっかり確認してください。
タイにはいくつかの医療保険制度があります。タイ人のみが加入できる「30バーツ保険」(負担額は無料もしくは30バーツ)、公務員が加入する「公務員医療給付制度」(加入する本人とその家族の保険料は無料)、「社会保障制度」(社会保険が指定している病院のみ医療費が無料になるが、他の病院で診察を受けたい場合は自費負担)です。

在タイ日本人に対して、先生からタイで暮らす上でアドバイスや気をつけた方がいいことはありますか?

タイは熱帯地域ですが、熱帯病ということで日本と違うところはデング熱くらいしかありません。
特にバンコクでは熱帯特有の他の感染症はほとんど起きません。
今は熱が出ると新型コロナを疑いますが、それまでは熱の症状が続くとデング熱がほとんどでした。

また、日本では熱中症がニュースに取り上げられますが、タイではほとんど話題になりません。
日本よりも暑い環境ではありますが、日本とは社会、生活(暑さに対する対策)などのスタイルが違うからでしょう。
そう考えると、熱中症は社会的疾病かなとも思います。

この記事をSNSでシェア!



一番上へ戻る