プロが考える!タイ・バンコク在住者は知っておきたい資産運用 2023

タイ在住の日本人なら、知っておいたほうが断然暮らしに役立つ“お金の話”
円安にも備えられる、保険、投資信託、株など、おすすめの運用方法を紹介!

「タイ在住中に資産形成を始めてみたい」、「日本と異なる金融環境を活かして資産を増やしたい」 。
そんな気持ちがありつつも、知識がなければ始められないのが、タイでの資産運用。

タイで暮らす日本人なら知っておきたい“お金と金融”のこと。
ここでは、プロに聞いた「タイに住んでいるからこそ押さえておきたい資産運用の基本」を紹介します。

まず始めに… 駐在員と永住者では異なる資産運用の手段

冒頭から「え?」という声が聞こえてきそうですが、タイで資産運用を考える場合、駐在員と永住者では手段が異なります。これがまず、大前提。運用する上でのリスクが異なるため、赴任してから数年で日本へ帰国する人と、配偶者がタイ人であるなどタイに永住する人では、実践すべき資産運用の手段や方法が違ってきます。


駐在員(いつか日本へ帰国する人)はタイの金融機関を利用した資産運用は不向き

タイの銀行・保険会社・証券会社の商品などは、お金の受け取りが、タイの銀行に限られるため、いつか日本へ帰国する人には合いません。例えば、節税目的で保険商品を利用して資産運用を始めた場合、日本への帰国後はタイの銀行口座を長期的に維持できなくなる可能性があるので注意が必要です。
タイもCRS(共通報告基準)に加盟していますので、近い将来日本と同じようにTAX IDと銀行口座の紐付けが始まることが予想されます。
TAX IDとの紐付けができない銀行口座は非居住者口座になるなど、何かしらの制限がかかるでしょう。仮に非居住者の口座で維持したとしても、アプリでの取引や国内送金(国内での他機関とのお金の出し入れ)に制限がかかる可能性があります。
それは保険金が満期になったとしても、保険会社からの保険金を受け取ることができない可能性があるということです。


ネットなどで発信されている資産運用情報は対象者の見極めが大切

インターネット上では様々なタイのサービス機関やブロガーなどがタイでの資産運用について情報を発信していますが、タイで資産運用をする場合は駐在員向けか、永住者向けかをしっかり確認しましょう。利回りの高い保険商品や投資信託などで運用を始めたとしても、いざお金を受け取れる時になっても受け取れないとなったら、すべてが水の泡となってしまいます。



では… 駐在員にとって有益な資産運用の手段とは

いつか日本へ帰る駐在員にとって有益なタイでの資産運用は何なのでしょう。それはまず大きな柱となる香港の貯蓄型生命保険と外国証券会社を通じた株やETFなど。ただし生命保険も前段で書いたように、タイ国内のものは資産運用をする上で駐在員には不向き。そこで、駐在員にメリットがある資産運用の手段と方法をピックアップしてみました。


一押しの保険商品は、日本に住んでいると加入できない香港にある保険会社の貯蓄型生命保険

利率が高いことで知られる香港で販売されている「貯蓄型保険」。かなり魅力のある商品なのですが、日本の法律によって日本に住んでいると加入することが困難です。ところが、タイに住んでいれば加入できるので、駐在している間にそのメリットを使わない手はないかもしれません。また、一度加入することができれば日本へ帰国後も継続できるので、駐在員にも安心だと言えるでしょう。保険金も日本の銀行で受け取ることができます。


iDeCo(個人型確定拠出年金)にも注目

iDeCo(イデコ)は、このところ注目されている資産運用の一つ。確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度で、自分で申し込み、掛金を拠出し、自分で運用方法を選び運用。将来的に掛金と運用益の合計額を受け取れるという商品で、給付を受ける際には税制上の優遇処置も講じられます。
このような日本のiDeCoをタイに住んでいる駐在員や国民年金に任意加入している海外移住者は、2022年5月からできるようになったので、確かな資産運用の一つとして考えてもいいかもしれません。


必ず知っておきたい企業型確定拠出年金(マッチング拠出)

会社勤めの駐在員なら加入するかどうかは別として、必ず知っておきたいのが企業型確定拠出年金。企業が掛金を毎月積み立てて、加入者である駐在員が自ら年金資産の運用を行うという制度です。加入者は掛金をもとにして金融商品の選択をするのですが、運用成績によって将来受け取れる退職金や年金額が変動します。


駐在員もできる外国証券会社を利用した株式投資

駐在員にとって資産運用の3本柱は、香港の貯蓄型保険、iDeCo、企業型確定拠出年金の3つ。これらの特徴は株価や為替などのタイミングをほぼ気にする必要がなく、時間を活用して資産を作ります。いつか給料が下がったり、止まったりした時にこれらの資産が生活の支えとなるでしょう。より積極的な運用を目指す方はアメリカやシンガポールなど外国証券会社を利用した、株式投資も候補です。
外国証券会社の中には、本帰国後もサービスの継続ができて日本の銀行口座で資金を受け取れるところもあります。



ここがPOINT!

駐在員が資産運用を始める行動はこの2つ!

一つは毎月の給料から天引きしながら積み立てしていくこと。そしてもう一つは、今あるまとまったお金を運用する。駐在員が資産運用を始めるための行動はこの2つに絞られます。


駐在員が資産運用をするための基本は、本業に集中するための補完!

株の値動きを終始気にして一喜一憂する…そんな資産運用のスタイルもありますが、駐在員の場合はいかに本業へ集中しながら資産運用できるかが大切です。本業で稼ぐ傍でそれを補完してくれる役割を資産運用が果たすというイメージで、始めるのが基本だと言えるでしょう。本業である会社勤めがおろそかにならないようなスタイルで始めたいもの。


大きくお金を増やそうとする場合はリスクを理解する!

資産運用を始める行動の一つとして、まとまったお金を運用するということを挙げましたが、ここにはある程度のリスクも派生します。よほど経済的な余裕がある人は別ですが、一般的にはまとまったお金を動かせる回数は限られているはず。そのお金を最大限に増やすことを目指すなら、良いタイミングに金融商品を買って、良いタイミングに売る。これはうまくいけば最もお金が増えるやり方で、株や投資信託が該当します。ただし、タイミングを間違えると大損してしまうリスクがあるので、ここをしっかりと理解しておくことが大切です。


投資するタイミングが関係ないのは保険!

保険商品は一定の年数を越えると元本が確保されている仕組みです。機関投資家である保険会社は株や投資信託などで発生する価格変動リスクをコントロールしています。この機能をプール機能と言って運用が良かった時は資金をプールして、悪かった時には補填する仕組みです。これは価格変動リスクに対しての保険機能と言われています。従って契約者は暴落が起きても悲観する事なく安定的に資産を増やす事が可能です。

駐在員が本業に集中しながらできる資産運用のため、ここが駐在員に向いているといわれる大きなポイントになります。



永住者にとって有益な資産運用の手段とは

では、タイ人の配偶者がいる人や、夫婦でタイでの永住を決めた人など、タイ永住者にとって有益な資産運用の手段とは何があるのかというと、資産運用の領域や種類が若干多くなります。


タイでの不動産投資に向いている人

不動産投資の際たる懸念材料は、自分が購入した不動産が売れないこともあるということ。不動産は“売りたい自分”がいる一方で“買いたい誰か”が必要です。買いたい人を見つけることが大前提にあり、その買い手が見つからないというリスクを理解する必要があります。不動産投資に向いている人とは、これから資産運用を始めようとしている人ではなく、すでに何か別の手段で資産運用をしていて、追加で不動産投資をするという人。物件が値上がりするタイミングを待てるような人に向いていると言えるでしょう。
不動産投資はレバレッジ(借り入れを利用して自己資金のリターン収益を求めること)を効かせてこそ収益を得られるので、そのあたりのセンスや知識も必要になってきます。


永住すると決めたなら、まずはSSF

タイで10年以上の永住、あるいは長期滞在を決めた人に“鉄板”といえる資産運用がSSF(スーパーセービングファンド)。SSFは年間所得の30%以内で、年間200,000Bまで購入可能な投資信託の一種。10年間以上保有しなければならないという“縛り”があるため、永住者向けとしている理由です。個人所得税の控除の対象となることも大きな利点でもあります。注意する点としては途中解約した場合、それまでに受けた税還付金をすべて返金しなければなりません。さらに税還付金×月数×1.5%の追徴課税が課せられるので注意が必要。配偶者がタイ人なら、タイ人の名義で購入するというのも安全策と言えるかもしれません。


タイの銀行や証券会社で投資をした際の売却益は課税なし

タイの銀行で投資信託を購入した場合や、タイの証券会社で株を購入をした場合は売却益に課税はありません。配当のみ10%が課税となります。



ETF(上場投資信託)で運用する

ETFはNYダウや日経平均株価、TOPIX(東証株価指数)
などの指数に連動しています。証券会社に口座を開くことで、株式と同じように売買できる手軽さが魅力だと言えます。また、定額でスタートしてみたいならば、やはり投資信託。1,000B(500B)からでも始められる手軽さが魅力です。



ここがPOINT!

所得税を抑えることが必須条件!

タイでの資産運用をすることでどうしても外せないことが、所得税を抑えるのに役立つかどうかということ。タイでは高率の所得税が課されるため、その部分に手を打っておくということがポイントです。


投資信託など売却益が非課税!

資金を10年上寝かしておけるなら、SSFなどに代表される投資信託がオススメ。売却した際の売却益に税金がかからないというのも大きなメリットです。タイの株式投資信託はもちろん、アメリカの株式投資信託でも売却益が非課税。この恩恵を上手に使うことがタイでお金を増やすコツでしょう。


アメリカ株の購入はタイの証券会社か外国の証券会社か!?

タイに住んでいる場合、アメリカ株を購入するなら外国の証券会社からがいいと言われています。利用するならアメリカの証券会社かシンガポールの証券会社。なぜかというとタイはタイ国外を源泉とする所得は、その年にタイ国内へ送金した所得に対してのみ課税されるからです。
税金まで考慮をした場合は外国証券会社にて取引を行うのが良いでしょう。

カンボジアで高金利の定期預金を始める(オフショア定期預金)

近年、在タイ日本人から注目を集めているのがUSD(米ドル)建てによる資産運用「オフショア定期預金」。タイのお隣の国・カンボジアでは国外在住者を対象にしたオフショア口座(国外に開設する口座)による定期預金が可能です。

メリットは「カンボジア現地に行かなくてもオンライン面談で口座が開設できる」「USD(米ドル)で定期預金できる」「金利が高い」ことなどが挙げられます。また「カンボジア国外在住者」「最低預金金額が設定されている」「非居住者は金利に対して課税される」などの利用条件はありますが、条件をクリアしていれば基本的には口座を作ることが可能です。

一方で、日本のペイオフ制度のような保証制度がなく、為替リスクがあるので、注意点やデメリットを把握しておく必要があります。


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