2023年最新!タイ・バンコクの病院事情

近隣諸国の中でも高い医療水準を誇り、日本や欧米に引けを取らない世界トップレベルの医療サービスを享受できるタイ。
とくに近年は「医療」と「観光」を組み合わせた「メディカル・ツーリズム(居住国とは異なる国や地域を訪ねて医療サービスを受けること)」に国を挙げて取り組んでおり、バンコクをはじめとする都市部を中心に、専門性の高い医師や医療従事者を擁する国際病院が林立しています。

また、バンコク都内にはタイ語・英語の他、日本語通訳や日本人専門外来を設けている私立病院やクリニックがあり、とても充実した医療環境が整っていると言えるでしょう。
こうした日本語が通じる医療機関の多くは、在タイ日本人が多く住むスクンビットエリアに集中。
出産・子育て世帯をサポートする婦人科や小児科はもちろん、歯科、皮膚科、睡眠障害や不妊治療に特化した専門センターなど多岐に渡る診療科を備え、「言葉の壁」に戸惑うことなく安心して受診することができます。

タイにおける新型コロナウイルスに関する感染対策など

2023年6月現在、ワクチンの接種状況に関わらず、すべての渡航者に対してワクチン接種証明書・陰性証明書の提示は不要になりました(一部の国からの入国、帰国の場合は必要となる場合もありますので、自身で渡航状況などは確認ください)。
タイ入国後のPCR検査、隔離の撤廃、屋内を含めたマスク着用義務を解除しており、マスクの着用は個人の判断に委ねています。

※ただし、外国人がタイで新型コロナに感染して、病院で治療や入院する場合は治療費・入院費が高額となる可能性があるため、必要に応じて新型コロナ治療を含む保険への加入が推奨されています。



タイで病院に行きたいとき、病気になったらどうしたらいいの?

まずは自分の体調や症状をよく確認することが大切です。「少し頭が痛い」「気分が悪い」などの軽症であれば、病院へ行かなくても休息して薬を飲めば良くなるケースもあります。ただし、「高熱が2〜3日続く」「吐き気や腹痛が治まらない」などと症状が良くならない場合は一度病院へ行き、医師の診察を受けることがおすすめ。また、新型コロナウイルスの症状が疑われる場合は、各病院の定めるルールに従って、受診しましょう。

タイで初めて病院へ行く場合は、日本人専門外来がある医療機関へ受診することを推奨します。バンコクには日本人専用窓口や日本語対応可能な病院も多く、日本人医師や日本人スタッフも勤務しているので安心です。受診する際はパスポート、海外旅行保険の保険証書、保険証券のほか、日本の国民健康保険に加入している場合は、日本の保険証を持参することも忘れないようにしましょう。



タイの気候と、気をつけるべき病気

国土の大部分は熱帯モンスーン気候に属し、バンコクでは3〜5月が暑季、6〜10月が雨季、11〜2月が乾季の3つの季節に分けられます。
特に雨季は、暑季に比べると気温は下がるものの湿度が高く、もっとも多い症状は急性下痢症で、食中毒や消化器感染症などが起こりやすい季節です。
外食時には衛生管理の行き届いた店を選び、少しでも体調に異変を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

また、乾季は雨がほとんど降らず晴天が続くので比較的過ごしやすいですが、PM2.5などによる大気汚染の影響で、気管支炎や気管支喘息といった呼吸器系疾患に注意が必要です。
外出時にはマスクを着用する、PM2.5のAQI(大気汚染指数)が高い日は外出や屋外での活動を控えるなどの警戒が呼びかけられています。

また、都市部ではリスクが低いものの、東南アジア特有の熱帯病にも注意が必要です。
蚊が媒介して感染するデング熱、地方の農村や森林地域で発生するマラリア、野犬・野良猫による狂犬病などの感染症にも気をつけましょう。

※情報参考
厚生労働省検疫所



日本とタイの医療の違い・受診時のポイント



タイの公的医療保険制度

タイには職業や雇用形態に応じて大きく分けて3つの医療保険制度があり、誰もがいずれかの保険に加入しています。日本の社会保険や国民健康保険といった医療保険制度がないため、必要に応じて海外旅行保険に加入しておくと良いでしょう。


国民医療保障制度(Universal Coverage)

タイ人のみが加入できる医療給付で通称30バーツ保険。保険料の負担は1回の外来や入院につき本人負担は30バーツのみ。受診できる医療機関は、事前に登録した居住地域の国公立病院のみで私立病院は対象外です。
※外国人の加入不可


公務員医療給付(Civil Servant Medical Benefit Scheme)

政府に勤務する公務員とその家族に対する福利厚生の医療給付。原則、受診医療機関の指定制限はなく、外来は高級民間病院でも無料受診できます。償還額の上限設定が無く、受診時の本人負担と保険料負担もありません。退職後も適用されます。
※外国人の加入不可


社会保険制度(Social Security Scheme)

民間企業の従業員を対象にした医療給付(会社に勤めていれば外国籍でも加入可)。緊急時を除き、保険加入時に1箇所だけ選んだ指定ローカル病院でのみ保険が適用され、通院・入院の医療費は無料です。月々の保険料は最大750バーツ。タイで勤務開始後、最初の3ヵ月間は使えないので注意してください。
※外国人の加入可


POINT!

民間医療保険への加入

タイで働いている外国人は会社で社会保険に加入していますが、補償額が小さいので高度な医療サービスを受けたい人や医療費の補償に不安がある人は、追加で民間医療保険に加入しておくと安心です。



医療機関の種類


タイの病院を上手に利用するには


一般的な私立病院受診の流れ

① 予約

電話やE-mail、ホームページから受診希望の日時を予約する。一部の診療科を除き予約なしでも受診できるが、対応できる医師がいない場合もあるので、受診する診療科・部門や在籍する医師のスケジュールを確認しておくと安心。

「サミティベート病院 スクムビット」「バムルンラード・インターナショナル病院」「バンコク病院」では日本語で予約可能。

画像提供:サミティベート病院 スクムビット

② 受付

初診時には受診前に個人情報の記入・登録が必須(再診時は診察券を持参する)。受診者のパスポートと、医療保険などに加入している場合は保険証券を持参すること。日本語の通訳や、帰国後に保険申請をする際に提出する海外療養費請求書類が必要な場合は、受付で申し出る。

※2023年6月現在、病院によっては発熱や呼吸器症状がある場合は医療機関を受診する前に自宅でのATK検査が必要です。検査結果が陽性だった場合、当日または発症日から数えて5日間は自宅療養することが推奨されています。症状が改善した場合は日常生活へ復帰できますが、症状が悪化した場合は、各医療施設の指示に従って診察を受診してください。

画像提供:サミティベート病院 スクムビット

③ 問診・症状の確認

来院時の体調や症状、血圧、体温、病歴、服役状況、アレルギーの有無などを測定・問診する。

④ 医師による診察

医師が診察、検査、治療を行います。希望すれば日本語通訳が立ち会うことも可能です。

⑤ 会計

診察終了後、窓口に整理券または診察券を提出する。処方された薬を受け取り、会計を済ませる。クレジットカードも使用可能。


保険の活用

海外旅行傷害保険に加入している場合は、医療機関をキャッシュレスで利用できることもあります。そのほか日本の国民健康保険、タイの社会保険や民間医療保険に加入していれば利用可能。
支払い能力が認められなければ治療を受けられない可能性があるため、万が一の事態を考慮して保険証を携帯しておくことをおすすめします。


日本で加入してきた海外旅行傷害保険の使い方

タイへの赴任前、日本で加入している人も多い海外旅行傷害保険。その使い方や注意すべきポイントをまとめました。


保険証券(保険証書)の提示と書類への記入

保険が適用されるかどうかは保険会社が判断します。
したがって、予め治療前に契約者が自分で保険会社に問い合わせておく必要があります。

また、治療が補償範囲を超えてしまった場合は、自己負担で支払わなければなりません。
保険証券(保険証書)の提示と添付する請求書類への記入は、保険を請求するごとに必要となります。

保険証を忘れてしまった場合は、キャッシュレスサービスを利用できないので注意しましょう。自腹で治療費を病院に支払った場合は、後日契約者が保険会社に請求してください。


ポイント

  • 請求書類へのサインを忘れずに
  • 保険証券(保険証書)のコピーをいつも携帯していると安心
  • 治療費が保障限度額を超えた場合は契約者の自己負担に

【タイ 病院】知らないとマズイ?! Part1 日本で加入してきた海外旅行傷害保険の使い方
動画の再生時間:2分28秒

クレジットカード付帯保険の使い方

クレジットカードには、海外旅行傷害保険が付帯している場合が多く、キャッシュレス治療を受けることができることも。その使い方や注意すべきポイントをまとめました。


クレジットカード付帯保険を使う場合

付帯保険を使ってキャッシュレス治療を受ける場合は、予め契約者がクレジットカード会社に連絡し、保険会社が発行する支払い証明書を病院へ送付してもらわなければなりません。その際に本人確認、カード資格、出国日、症状などの確認をしてください。

病院で治療を受ける際には、日本からの最終出国日を確認できる書類が必要なので、「パスポート、Eチケット、搭乗券」などを必ず持参しましょう。

保険会社が発行する支払い証明書が間に合わない場合は、キャッシュレスサービスを利用できないため、治療費を病院に支払ったうえで、後日、契約者が保険会社に請求してください。


ポイント

  • 保険加入前から発症または治療が開始されていた疾病は保険適用対象外
  • 初診日から180日間を超えた治療や経過観察にかかる費用は自己負担
  • 治療費が保障限度額を超えた場合、超えた分の費用は自己負担
  • 付帯保険の補償額を確認しておくこと
  • 妊娠、歯科治療、健康診断など、保険が適用されない場合を確認しておく
  • 保険期間は最大90日間(3カ月)※91日間以上にわたる長期間の滞在や留学の場合は、出発前に海外旅行保険へ加入する必要があります。

【タイ 病院】知らないとマズイ?! Part2 クレジットカードに付いている保険の使い方
動画の再生時間:2分30秒



タイ在住者のための健康診断・人間ドック




タイ在住者のための予防接種(ワクチン)

タイでは日本にいるときよりも感染するリスクの高い病気がありますが、予防接種により感染や重症化を防ぐことができます。

日本の外務省がタイへの赴任者・1カ月以上の長期滞在者向けに予防接種が必要と発表しているのは、A型肝炎、B型肝炎、破傷風の3種です。農村地域の滞在と、動物との接触が予想される場合には、上記の3種に加え、狂犬病や日本脳炎の予防接種が推奨されています。
免疫がつくまでには時間がかかるため、タイ入国までに有効なスケジュールを立てて接種を完了しましょう。

ただし、日本で所定の接種回数を終えられなかった場合や追加免疫が必要な場合でも、タイの医療機関で接種できるため、医師に相談してみるとよいでしょう。
黄熱リスク国からのタイへの入国・帰国時(9時間以上のトランジットを含む)には、「黄熱のワクチン接種」および「イエローカード(黄熱予防接種国際証明書)」の提示が必要です。



日本人がかかりやすい病気

「こんなときは、何科で診てもらう?」
気候の違いや海外生活のストレスなどから、予期せぬ病気や突然の事故に見舞われてしまうことも。タイにいるからこそ、「自分の健康は自分で守る」という意識が大切です。不安・不調を感じたら適切に医療機関にかかり、体調管理に努めましょう。



小児科の選び方・スムーズな受診のコツ

赤ちゃんや小さな子どもは急に体調を崩しやすく、小児科のお世話になる機会も多いもの。
また緊急時以外にも、普段から発育・育児についての相談ができる身近な小児科医がいると心強いはず。できるだけ早い段階で、「我が家のかかりつけ」を見つけておくことをお薦めします。




タイで妊娠・出産・子育てをするなら

出産は女性にとってはもちろん、新たに赤ちゃんを迎え入れる家族にとっても一大イベント。日本で里帰り出産を希望する妊婦さんもいますが、バンコクにはいわゆる不妊治療からハイリスク妊娠・分娩(多胎・高齢妊娠など)まで一貫してサポートしてくれる高度な総合病院があり、多くの日本人先輩ママたちが一人ひとりの希望に沿った“バースプラン”で赤ちゃんを授かっています。




はじめての人もこれで安心! おしえて!タイの病院事情Q&A

タイで生活している人はもちろん、旅行や仕事で来られる人も、いつ病気や体調不良になるかわかりません。事前にタイの病院事情について知っておくといざというときに安心です!

Q

タイの医療事情は?

A
バンコク都市部には高度な医療を提供する私立病院や医療施設があり、医療水準はかなり高く、日本の医療技術と比較しても遜色はありません。

Q

日本語は通じるの?

A
バンコクの私立病院には、日本人専用窓口を設けている病院が多く、日本語で相談や受付が可能(日本語直通の電話も)。また、日本人コーディネーターや日本語通訳が常勤しているので、診察時の通訳も日本語で対応してくれます。

Q

治療費はどのくらいかかるの?

A
在タイ日本人がかかるような私立病院はすべて自由診療。そのため、診察料や治療費等は非常に高額になることが多いので、事前に料金等を確認するか、または海外旅行傷害保険等の保険が適用されるか確認しておきましょう。

Q

高額な治療費の支払いについて?

A
海外旅行保険に加入していればキャッシュレス利用が可能です。ただし、事前に保険会社が提携している病院での治療に関して、保険会社からの連絡と確認を前もって済ませることが必要なのと、病院ごとで提携している保険会社が異なるため注意が必要。海外旅行保険に加入していない場合は全額自己負担となります。

Q

日本の国民健康保険を使うことはできるの?

A
利用できます。ただし、タイの病院を利用した際は一度自費で支払いを済ませる必要があります。診断書や領収書を保管し、日本へ一時帰国した際に申請すれば、治療費の一部が還付されます。詳しい申請方法や必要書類は各自治体のHPや利用した病院へお尋ねください。

Q

予約なしでも受診できるの?

A
可能です。ただし、事前に予約した人の診察を優先するため、待ち時間が長くなったり、状況によっては当日受診できない可能性があります。確実に受診したい場合は予約してから病院へ行きましょう。


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