Vol.4 出産本番~第一子出産レポート

バムルンラード病院で初めての出産


いよいよ、出産本番。ここでは、2019年に出産した第一子の時についてお伝えしたいと思います。

ドクターはおおむね健診で提出していたバースプランに沿ってお産を進めてくれました。
妊娠後期に入ってからの健診時、日本語表記のあるバースプランの記入用紙をもらい、次の健診時に提出。記入したものを読み上げて、通訳さんがドクターに伝え、ドクターがタイ語で書きこんでくれます。希望の分娩方法などをはじめ、必要な情報は選択式になっているので記入には困りません。追加で希望することがある場合には「その他」の欄に追記でき、私は第一子のバースプランには「臍帯が欲しい・胎盤を見せてほしい・できれば会陰切開をしない」と書き込みました。

へその緒を取っておくのは日本特有の風習であり、へその緒を持ち帰りたい場合は、予め伝えておく必要があります。日本ではしっかり乾燥させてから渡してもらえるようですが、タイでは出産直後にフレッシュな状態でタッパーのような容器でもらいました。自分で乾燥させる必要があるので、私は入院中の病室で容器の蓋を開けてキッチンペーパーを敷いて乾かすことに。

「胎盤を見たい」 と言うのは好奇心からでしたが、まさに木の根が張ったように血管が張り巡らされていて、実際に目にすると思っていたより赤くて、大きくて、重そうでした。赤ちゃんと私をつないでいた胎盤。役目を終えた胎盤に、 「お疲れ様」と心の中でつぶやきました。胎盤は生の臓器ですので、苦手な方は見るのを控えたほうがよいでしょう。

「できれば会陰切開をしない」と記入したのは恐怖心があったからです。しかし、ドクターの判断で会陰切開をしてもらった方がよかったと後悔しました。と言うのも、ドクターはバースプランに基づきギリギリまで会陰切開をしない方向で頑張ってくれたものの、出産の最後の最後で会陰が裂けてしまったのです。会陰裂傷は、ドクターが会陰切開した綺麗な傷よりも治りが遅く、重症になる可能性があります。幸いにも私は大きすぎない傷で済みましたが、「会陰切開よりも会陰裂傷の方が怖い」ということをお伝えしておきたいです。

第一子の出産:40週4日(2019年)

40週に入り、予定日超過後初めての健診。全く予兆がなかったため、ドクターに「翌朝入院し陣痛促進剤を入れ、それでも夕方までにお産が進まなければ帝王切開で産みましょう」と伝えられました。日本では予定日超過後2週間までは様子を見るようですが、タイではなるべく予定日を超過しない方針です。今日何かがなければ、明日が赤ちゃんの誕生日になる。やっと赤ちゃんに会える。大きなお腹も胎動も今日で最後、とたくさん撫でて愛しんで、妊婦最後の夜を過ごしました。そのまま翌朝までおしるしも破水もなく、陣痛もないまま、入院の支度をしていざ病院へ。

7時半に夫とともに病院に到着し、1階のスターバックスでお気に入りの朝ごはんを購入。入院手続き後、入院部屋に荷物を置いてすぐにLDRへ。その後出産着に着替え、無痛分娩用の麻酔や緊急時の帝王切開に関する同意書や書類にサイン。ご飯を食べて浣腸をしてから、お手洗いを済ませ、そのままベッドで待機。まだまだ予兆は全くなし。

9時前にドクターが来て触診。膣に手を突っ込まれ、促進剤を注入されました。これがかなり痛かったけれど、子宮口は2cm開いてきているとのこと。そしてそのあとすぐ、信じられないくらいの痛みとお腹の張りが!意識が遠くなるほど痛い…きっとこれが、陣痛…!痛みの波は、10分間隔。その後、子宮口は1時間に1cmずつ開いてきました。ちなみに、ドクターの回診には通訳さんも同行してくれます。

11時頃、2回目となるドクターの確認後、何かが流れ出てくる感触。おもらし?破水?と思ったら、おしるしでした。大きな血の塊もどろっと出てきて、びっくり…。でも、あとちょっとなのかな?とドキドキでした。血圧・心電図・子宮収縮の機械を装着し、点滴を打ちながら、子宮口が5cm開くまで無痛分娩の麻酔は入れずに激痛に耐えます。痛みは、生理痛を100倍くらい痛くした感じ。私は痛みに強い方だと思っていましたが、全然耐えられませんでした。深呼吸しても、声を出しても、とっても痛い。痛すぎて何も考えられない。看護婦さんが、見兼ねて痛み止めの注射をしてくれましたが、全く効きませんでした。

12時頃またドクターの確認。子宮口は4cmで停滞。どうしても耐えられずに麻酔をお願いしたところ、すぐに麻酔科の先生が来てくれて、やっと麻酔を入れてくれました。麻酔針も痛いけれど、陣痛の痛みに比べたらチクっとするくらい。管を通した背中から、じわーっと、ひんやりしたものが広がっていく感じ。そして5分ほど経つと…あんなに辛かった痛みを何も感じなくなり、感激。陣痛が胎動のようなぽこぽこ、という感覚になりました。痛みがひいたら眠くなり、お昼寝までしてしまいました。そこから子宮口が開ききるまでゆったりした時間が流れます…。まだかな?まだかな?痛みがなくなったから、とても穏やかです。一緒にいた夫とオンラインゲームができるくらいの余裕がありました。

15時の回診で、7cmまで開いてきています。先生も、ディー(良いね)と言ってくれて安心しました。少し経ってから、看護師さんといきむ練習。これでいいのかな?どうかな?という感じで難しかったです。

16時頃、突然麻酔が切れて激しい痛みが襲ってきました…!痛みのあまり何度もナースコールをしてしまいましたが、麻酔は追加できず。出産の進みが遅く、帝王切開に切り替える可能性があったため、追加の無痛分娩用の麻酔を入れられないタイミングだったのです。ここで陣痛アゲイン。しかもピーク。本当に、本当に痛い…。しかし、横になっている私の足元ではバタバタと出産の準備が進み、ドクターが来ると、「急に痛みを感じたらいきんで(push)!」と言われました。何がなんだかわからないうちに、いきみ方もよくわからないまま、痛くなったらとにかく「いきんで…いきんで…いきんで…。Push!」と叫ばれながら、いきんで…次の瞬間、ぶるんっと、詰まっていたものが出てくる感触…。いきみ始めてからはあっという間に赤ちゃんが誕生しました。すぐに元気な声で泣いて、目を開けて、震えながらばたばたと動く赤ちゃん。「やっと会えた…」。お顔を見た瞬間、涙がこぼれ落ちました。無事に、元気に産まれてきてくれて、本当に本当に良かったです。
その後5分ほどで、胎盤も出てきて、裂けてしまった会陰の縫合をしてもらいました。疲れ果てていたのか、麻酔は切れていたはずですが縫合の痛みはもう感じません。身体を綺麗に拭いてもらった娘と夫と3人で初めての記念撮影の後、カンガルーケアへ。合わせた肌から伝わるしわしわの感触、ほっそりした軽い身体、白くて少し赤らんだ顔、まだ湿っているくるくるの髪の毛、ひんやりして小さな爪がついた足の指、きゅっと私の指を掴む小さな手…。どれも、忘れられないと思います。
第一子の出産にかかった時間は、LDR到着後およそ8時間半でした。

最後に

出産はひとつとして同じものはないので、色々なケースを知っておくことも備えになるかもしれません。第一子出産は新型コロナの世界的な流行前だったので、現在と状況は異なりますが、出産の一事例としてご参考になることがあれば幸いです。
初めての出産は、これから何が起こるのか想像も難しく、不安を覚えることもあるでしょう。私は、初めての妊娠出産をタイで経験できてよかったと感じています。信頼できるドクターやLDRをはじめとする設備などが整う環境で、安心して出産に臨むことができました。

YUMEKO

在タイ5年目webライター。バンコクで2度の妊娠・出産を経験。アート・トリップ・ファッションと、「日常+カルチャー」をモットーに、ママも子どもも楽しい育児メソッドを模索中。ライフワークは、素敵なホテル・カフェ巡り。大の甘党、アフタヌーンティーが好き。

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