日本とタイの医療の違い・受診時のポイント

画像提供:サミティベート病院 スクムビット

 

地域や個々の施設によって違いはあるものの、前述の通り、主要都市の医療事情は概ね良好です。
とりわけ、在タイ日本人がよくお世話になるバンコク都内の私立病院の医療水準はかなり高く、日本の病院と比べても遜色がないと言われています。
ただし、慣習や制度の異なる海外での受診には、戸惑いを感じる部分も多いもの。
医療関係者の見解をもとに、日本とは異なるタイの病院事情や上手な病院のかかり方を紹介します。

①病院とクリニックの機能・役割が一体化

タイの医療機関は「病院」「クリニック(診療所)」の線引きがやや曖昧。日本で治療が困難な病気や入院を要する治療と検査をする場合は「病院へ」、日常的な病気・ケガの治療には「クリニック(診療所)」へかかるのが一般的ですが、タイではこの2つの機能が病院に集約されています。
“この程度で病院へ行っていいの…?”とためらってしまう緊急性のない軽い症状でも大きな病院へかかって良いそうです。
また、大きな病院なら複数の診療科をまたぐ受診も安心でスムーズ。



②タイでは夜間・土日の救急外来も病院へ

夜間や休日時間外の診療となると、日本では専門の急患センターなどが対応しますが、タイにはこのようなシステムがないため、緊急時も病院を受診するのが一般的。24時間体制で各診療科の専門医が常勤し、いわゆる時間外診療費もかかりません。かかりつけの私立病院に電話して、救急車を手配してもらうこともできます。


③診療費・治療費は日本よりも高額になりがち

次項で紹介するように、医療機関は主に3つのタイプがあり、このうち在タイ日本人がかかるような私立病院はすべて自由診療となっています。そのため、日本での窓口負担額と比較すると高額になる場合が多く、とくに外科治療やICU(集中治療室)といった先進医療を受ける場合は顕著とのこと。事前に費用を確認するか、万が一に備えた医療保険への加入が推奨されています。


④私立病院のホスピタリティの高さはホテル並み

「サミティヴェート病院 スクムビット」「バムルンラード・インターナショナル病院」「バンコク病院」などを筆頭に、タイ人富裕層や外国人患者を受け入れるバンコクの大手私立病院では、質の高い医療もさることながら、高級ホテルを思わせるハイグレードなサービスを提供しています。日本人を含む外国人向けの医療通訳はもちろん、フードコートやレストラン、コンビニといった院内ファシリティ、豪華で洗練された病棟や病室、送迎サービス、そして医師・看護師など医療従事者のホスピタリティの高さが抜きん出ているので、驚く人も多いでしょう。その分、高額費用にはなりますが、一流スタッフに見守られる安心感には変えられないはずです。

画像提供:バンコク病院


⑤病院よりも医師で選ぶ&主体的な受診が大切

充実した医療環境が整い、日本語の通じる病院があるとはいえ、海外で病院にかかるなら積極的な姿勢が必要不可欠。
とくに、診療費・治療費は日本よりも高額になるケースが多いことから、「何のための検査ですか?」「こんなに薬は必要ですか?」など自ら医師とコミュニケーションをとって確認し、取捨選択していく必要があります。また、“この先生、なんとなく合わないかも…”と感じたときは、担当医を変えてもらうということも可能。不安に感じることを率直に伝えられ、信頼できる「かかりつけ医」を見つけておくとタイ生活を送るうえでも安心です。


⑥伝えたいことをメモして受診する

限られた診療時間のなかで自分の症状を的確に伝え、医師に的確な判断を下してもらうのはどこの病院でもそうたやすくはないもの。ましては通訳を介した外国人医師とのやりとりでは、伝えたいことがきちんと届いているのかと不安に思うこともあるでしょう。そんな場合に備えて、症状や経過をまとめたメモ・画像などを持参するのも一手です。例えば下痢の場合、「いつから症状があるか」「どんなものを食べたか」などを伝えると、医師にとっても有益な判断材料となります。
日本語でのやり取りが可能な病院やクリニックであれば、電話やLINEなどで事前に問い合わせしておくと、スムーズな診察ができるでしょう。


⑦治療費をカバーする保険証券を持参する

③で記述したように、場合によっては治療費が高額になるケースがあります。
タイの病院では支払い能力の有無が非常に重要視されており、支払いができない場合は病気やケガをしていても治療が受けられないこともあるようです。受診時にはパスポート(再診時は診察券)のほか、自身が加入している保険の保険証券、クレジットカードなどを持参しましょう。保険のタイプによっては、キャッシュレスサービスを利用できる場合もあります。
詳しくは「保険の活用」の項目をご確認ください。


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