タイ生活の基本
【知っておくべきタイの基礎知識2024年版】
〜はじめてのタイ〜

旅行や出張ではなくタイに住居を構えて生活するとなると、その国の文化や歴史、風習などを知り、尊重することはとても大切です。
日本とは異なる生活文化や環境、マナーなどにはじめは戸惑うことも多いですが、徐々に慣れていきましょう。

タイの基本情報

タイ国について

国名

タイ王国(英語:Kingdom of Thailand/タイ語:プラテート・タイ)


首都

バンコク(英語:Bangkok/タイ語:クルンテープ・マハナコーン)

※正式名称は「クルンテープ・マハナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット」


国家元首

ラマ10世(マハワチラロンコン・ボディンタラテープ・パヤワラーングーン国王陛下)


国旗

トン・トライロング(三色旗)。中央の紺(青)は国王、白は宗教、赤は国民と国家を象徴しています。


面積

51万3120㎢(日本の約1.4倍)


人口

約6605万人 ※2023年時点
大多数がタイ族。そのほか、中華系(華人)、マレー系など


地域

1都76県。エリアは中部、北部、東北部、東部、西部、南部の6部に分けられます。


民族

タイ族、華人、マレー系、インド系、その他の少数民族で構成される多民族国家。


言語

公用語はタイ語。地方によって方言があり、山岳部の少数民族は独自の言語を使用しています。バンコクをはじめ都市部や観光地のホテルやレストランでは英語が通じやすいでしょう。


宗教

国教は上座部仏教(テーラワーダ仏教)で、国民の90%以上が仏教を信仰。


通貨

バーツ(Baht/THB)=約4.15円(2024年1月時点)
硬貨は25サタン、50サタン、1バーツ、2バーツ、5バーツ、10バーツの6種類。
紙幣は20バーツ(緑)、50バーツ(青)、100バーツ(赤)、500バーツ(紫)、1000バーツ(グレー)の5種類。
※サタンは補助硬貨(1バーツ=100サタン)


国花

©文化省

ラーチャプルック(英名:ゴールデンシャワー)
鮮やかな黄色が印象的なタイの国花。開花時期は3〜4月で、ソンクランの時期に見頃を迎えます。


日本との時差

日本とタイの時差は2時間。日本の方が2時間進んでいます。


政治体制

立憲君主制。1932年以降、国王陛下は国家元首となり、議院内閣制を採用。


タイの気候

タイは熱帯モンスーン気候です。高温多湿で蒸し暑く、年間の平均気温は約29度。主に3つの季節に分けられます。


暑季(3〜5月)

一年の中で最も暑い季節とされる暑季。特にタイの旧正月であるソンクラン(4月中旬)の時期は日差しが強く、連日蒸し暑さが続き、気温が40度を超える地域もあります。


雨季(6〜10月)

雨季は5月の終わりから10月の終わり頃まで続きます。特に6月〜9月の間は毎日1〜2時間程度の激しいスコールが降ることも。日本の梅雨のように一日中雨が降ることはあまりありません。


乾季(11〜2月)

雨がほとんど降らないため、快適で過ごしやすい季節。日中の気温は25〜30度程度と暑いですが、朝晩は20度近くまで下がることも。北部の山岳地域では深夜や早朝には0度近くまで下がることがあります。


CHECK!

ベストシーズンはいつ?

11〜2月の乾季は雨がほとんど降らず、気候が安定しているので過ごしやすい時期。旅行やおでかけのベストシーズンです。


タイの祝日

タイは世界有数の祝日が多い国。祝日の中には、仏教の祭典や王室の記念日にちなんだ日もあります。

2024年タイの祝日
1月1日(月)

ニュー・イヤーズ・デイ(元日)

2月24日(土)

マカブーチャ(万仏節)※禁酒日

4月6日(土)

チャクリー王朝記念日

4月13日(土)

ソンクラン(タイ旧正月)

4月14日(日)

ソンクラン(タイ旧正月)

4月15日(月)

ソンクラン(タイ旧正月)

5月1日(月)

レイバーデイ

5月4日(土)

ワチラロンコーン国王戴冠記念日

5月22日(水)

ヴィサカブーチャ(仏誕節)※禁酒日

6月3日(月)

スティダー王妃生誕日

7月20日(土)

アサラハブーチャ(三宝節)※禁酒日

7月21日(日)

カオパンサー(入安居)※禁酒日

7月28日(日)

ワチラロンコーン国王陛下生誕日

8月12日(月)

シリキット王太后生誕日(母の日)

10月13日(日)

ラマ9世記念日(命日)

10月23日(水)

チュラロンコーン大王記念日

12月5日(木)

プミポン前国王生誕日(父の日)

12月31日(火)

ニュー・イヤーズ・イブ(大晦日)



タイの文化編

©Pixabay

東南アジアでは唯一植民地支配を受けず、長い歴史とともに独自の文化を育んできたタイ。仏教の観念が深く根付いているタイではどのような文化や風習があるのでしょうか。


タイの文化編 タイの仏教について


上座部仏教(テーラワーダ仏教)

国民の9割以上が上座部仏教を信仰。上座部仏教はスコータイ時代にインドから発生し、スリランカ、ビルマ、カンボジア、ラオスなど南方ルートを通って伝わった仏教の一種。日本の大乗仏教(誰でも悟りを開け、成仏できる)とは異なり、出家して悟りを開いた者だけが救われると説かれています。


ワイ(合掌)

©Pixabay

「ワイ」はタイの伝統的なあいさつ。年上や目上の人、僧侶などに敬意を示すという意味があり、「サワディー(カップ/カー)」を言いながら、ワイ(合掌してお辞儀)をします。ワイをされた人は同じようにワイで返すのがマナーです。


3種類のワイ
  • 僧侶へのワイ:両手を合わせて親指を眉間に当てる
  • 年上へのワイ:両手を合わせて親指を鼻に当てる
  • 同年代へのワイ:両手を合わせて親指をあごに当てる

タンブン

©ワット・プラシー・マハタート

タンブンとは「善行を行う・徳を積む」という意味があり、寺院に足を運んでお布施をしたり、托鉢のお坊さんにお供え物を捧げたりすることです。徳をたくさん積むことで、後世にも良い影響を与えられると信じられています。


タイの文化編 タイの伝統文化・行事


ムエタイ

©タイ国政府観光庁

タイの国技である「ムエタイ」とは、タイ式キック・ボクシングのこと。激しいパンチ、キック、芸術的なフェイントなどが特徴です。その歴史は古く、13世紀に栄えたスコータイ王朝においても、軍隊の実践格闘技としてすでに取り入れられていたともいわれています。


タイ古式マッサージ

©タイ国政府観光庁

身体中に張り巡らされている“セン”と呼ばれるエネルギーラインを刺激することで、本来もっている治癒力や免疫力を高め、心身の状態を整える施術です。ゆっくりと時間をかけながら、頭のてっぺんから爪先まで全身をほぐしていくのが特徴。「芸術と科学、文化を兼ね備えた伝統医療」と評価され、2019年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。


仮面劇(コーン)

©タイ国政府観光庁

400年以上にわたって受け継がれてきたタイの古典舞踊劇。演者は「フアコーン(コーンの頭の意味)」という仮面を被り、曲芸や舞踊を披露します。


お祭り・行事

ソンクラン

©タイ国政府観光庁

タイの旧正月(毎年4月13日〜15日)に行われる「ソンクラン」は、太陽の軌道が12カ月の周期を終え、太陽暦による新年が始まることを祝う伝統行事。もともとは仏像や年長者の手に水を掛けて清めるという伝統的な風習でしたが、近年は地元民や観光客らが水をかけあって楽しむ「水掛け祭り」としても知られるようになりました。


ロイクラトン

©Pixabay

毎年旧暦12月の満月の夜にクラトン(灯籠)を川に流すタイの伝統行事です。諸説ありますが、13世紀のスコータイ王朝時代の王妃(ノッパマット王妃)が、満月の夜にハスの花をかたどったクラトンを作り、川に流したことが始まりとされています。


キャンドル・フェスティバル

©タイ国政府観光庁

タイ北東部のウボンラーチャターニー県で毎年カオパンサー(入安居)の日に開催される伝統行事です。巨大なロウ彫刻の山車と民族舞踊の踊り手たちが練り歩くパレードが見どころ。


食文化

©タイ国政府観光庁

辛味、甘み、塩味、酸味の4つの味+香りを楽しめるのがタイ料理の魅力。また、北部、東北部(イサーン地方)、南部、中部と地域ごとで味付けや料理の特徴が異なります。


中部(バンコク、アユタヤなど)

中部の料理は外国やタイの各地域から入ってきた食文化の影響を受けている料理が多いのが特徴です。日本人にも馴染みのあるポピュラーな料理が揃うのも魅力。

代表的な料理
  • トムヤムクン(エビ入りの酸っぱ辛いスープ)
  • トムカーガイ(鶏のココナッツミルクスープ)

東北部(ウドーンターニー、コンケーンなど)

“イサーン料理”の名前でも知られており、「自然のものは何でも食す」が特徴。おかずは濃いめに味付けされ、もち米(カオニャオ)と一緒に食べるのがイサーン流です。

代表的な料理
  • ソムタム(青パパイヤのサラダ)
  • ガイヤーン(鶏の炭火焼き)

北部(チェンマイ、チェンライ、スコータイなど)

他の地域とは違い、辛さや酸味が控えめでマイルドな味付けのものが多いのが特徴です。北部には中国やチベット、ミャンマーなどから来た部族が住んでおり、独自の味付けや郷土料理が楽しめます。

代表的な料理
  • カオソーイ(タイ風カレーラーメン)
  • ゲーンハンレー(豚肉と生姜のカレー)

南部(プーケット、スラートターニーなど)

何と言っても刺激的な辛さが魅力の南部料理。辛さの中に酸味と甘みを感じ、クセになる美味しさです。また、海に囲まれた地形で海産物がよくとれることから、料理に魚介類が使われることが多いのも特徴。

代表的な料理
  • クアクリンムーサップ(激辛ドライカレー)
  • パットサトークンソット(豆とエビの炒めもの)

CHECK!

食事の時に気をつけたいマナー


食器に口をつけて食べない

丼やお椀に口をつけてごはんを食べたり、スープを飲んだりするのは控えてください。


料理にかぶりついて食べない

大きな肉や魚は必ずスプーンで一口大に切ってから口に運びます。豪快にかぶりつくのはNGです。


麺をすすって食べない

麺類を食べるときは、音を立てずに食べるのがマナー。スプーンやレンゲに麺を乗せて食べましょう。



タイの生活編

食生活

タイは外食やデリバリー(宅配)の需要が高く、自炊するという家庭は少ない傾向にあります。
屋台やフードコートは1食50〜70B(200〜280円)ほどで食べられ、自炊するよりも食費が安くおさまります。バンコクでは日系スーパーや日本食レストランが数多く点在しているため、日本の食材が手に入って食べ慣れた日本の料理が楽しめるでしょう。ただし値段は日本で食べるよりも高めです。


注意が必要なのが「水道水」。タイの水道水は水に貯水タンクの汚れやサビ、雑菌などが混ざっており、そのまま飲むと腹痛や嘔吐などの症状が出る可能性があるので注意してください。そのため、ほとんどの家庭ではペットボトルの飲料水を購入するか、浄水器やウォーターサーバーを設置しています。


住居

タイの物件は「コンドミニアム」「アパート」「サービスアパート」の3タイプが一般的。ほとんどの物件には基本的な家具や家電が備え付けられているので、すぐに生活をはじめることができます。


ビザ

外国人がタイで居住・仕事をするためにはビザの取得が必要です。

  • ノンイミグラントB(就労ビザ)
  • ノンイミグラントO(家族ビザ)
  • ノンイミグラントED(教育ビザ)
  • ノンイミグラントO-A(ロングステイ)など

医療・病院

タイ、特にバンコクの国立・私立病院の医療水準は高く、日本と比較しても遜色はありません。病院によっては日本人医師や日本語通訳が勤務して、日本人専用窓口を設けているため、日本語で安心して治療を受けることができます。


トイレ・電圧・チップ


トイレ

トイレットペーパーは便器に流さず、備え付けのゴミ箱に捨てます。タイのトイレは水圧が弱く、排水管が細いことから、紙を流すと詰まってしまうからです。


電圧

タイの電圧は220V(ボルト)。日本の電圧は100Vなので、日本の電化製品をタイで使用するためには変圧器が必要です。


チップ

タイにはチップの習慣があります。日本人も利用することの多いマッサージをはじめ、ホテル、レストラン、ゴルフ(キャディさん)などでチップを払うことがあります。


交通手段

タイにはタクシーやバス、電車のほか、バイクタクシー(バイタク)、シーロー、トゥクトゥク、ソンテウといったさまざまな交通手段があります。


鉄道

©Pixabay

バンコク都内にはBTS(スカイトレイン)とMRT(ブルーライン、パープルライン)、スワンナプーム国際空港とバンコク中心地を結ぶエアポート・レール・リンク(ARL)などが走ります。


路線バス

©Pixabay

路線バスは都営と私営の2種類あり、路線は番号で統一。200以上の路線があります。


バイクタクシー

「モーターサイ」や「バイタク」とも呼ばれ、距離に応じて料金は変わります。渋滞時や近場への移動に便利。


シーロー

シーローとは、軽トラの荷台にシートをのせて屋根を付けた軽トラタクシーのこと。定員は4〜6名。


トゥクトゥク

©Pixabay

観光地などで見かけるトゥクトゥクはバイクの後部を客席に改造した三輪タクシー。定員は3〜4名。


ソンテウ

小型トラックの荷台を改造した乗り合いトラック。定員は6〜8名。


運河ボート

©港湾局

バンコク中心部を東西に流れるセンセープ運河の一部を走るボート。雨により水位が高い日は運行休止となることも。


タイの交通渋滞に注意!

©Pixabay

バンコクは交通渋滞が激しいことで有名。平日の朝7:00〜9:00、夕方17:00〜20:00のラッシュアワーの時間帯は各地で渋滞が発生します。待ち合わせなどで急いでいるときはむやみに車で移動せず、電車や徒歩で移動するようにしましょう。



タイの生活編 タイのお酒事情

酒類の販売時間

法律でお酒を販売できる時間が決められています。お酒を販売してよい時間は11〜14時、17〜24時のみです。飲食店などもこの時間内でしかお酒の提供はできません。


禁酒日

タイでは仏教にまつわる祝日や選挙の投票日前日と当日が禁酒日とされており、終日お酒を購入することができません。飲食店も同様で終日お酒の提供はできません。


飲酒が禁止されている場所

公立公園、駅構内および電車内、学校、医療機関、官公庁、寺院などの宗教施設、ガソリンスタンドでは、飲酒できません。違反した場合、6カ月以下の懲役、1万B以下の罰金、またはその両方が科せられます。



タイの生活編 タイの喫煙事情

喫煙禁止の場所

公共施設、商業施設、オフィス、ホテル、空港、バーやパブを含むエアコンの効いた屋内飲食店、タイ国内のビーチでは喫煙が全面禁止されています。屋外の喫煙可能なエリアや路上(禁煙に指定されていない場合)は喫煙できますが、タバコのポイ捨ては罰金が科せられるので注意してください。



加熱式タバコ・電子タバコは禁止

日本では一般的となったIQOS(アイコス)などの電子タバコですが、タイでは電子タバコの使用・所持は禁止されています(所持の場合、最大で懲役5年、商品価格4倍の罰金、またはその両方が科せられます)。特に日本から渡航する場合、タイ国内への持ち込み自体が法律で禁止されているため、注意が必要です。


屋外や車内の喫煙に注意!

日本では喫煙席、禁煙席をわける分煙化が一般的ですが、タイは完全禁煙が基本。カフェやレストランでは屋外席も禁煙の可能性があるので、店のスタッフに必ず「喫煙できる場所」を確認しましょう。
また、タイでは、ドライバー、同乗者に関わらず車内喫煙が法律で禁止されています。自家用車、レンタカー、タクシーなどでも喫煙できません。



タイの生活編 タイでのNGマナー


寺院で肌を露出させない

寺院では、男女ともに半ズボンやミニスカート、ノースリーブ、ビーチサンダルといった肌が露出している服装で入ることは控えましょう。


女性は僧侶に触れてはいけない

タイでは僧侶に女性が触れることは戒律で厳しく禁じられています。僧侶はオレンジ色の袈裟を着ているので、見かけたら触れないように気をつけてください。また、電車内では僧侶の隣に座るのもNGです。


足の裏は不浄

足の裏は不浄な場所とされているので、寺院の仏像や人に足の裏を向けてはいけません。


人の足をまたいではいけない

人の足をまたぐ行為は失礼なこととされています。電車内など狭い場所で通路がふさがれているときは、必ず一声かけて足をずらしてもらいましょう。


人の頭を触ってはいけない

頭は神聖なものが宿る場所と考えられているため、他人の頭を触ることはとても失礼な行為にあたります。子どもや赤ちゃんでも触れてはいけません。



タイの生活編 タイでのトラブル


トラブル・治安

比較的治安がよいとされるバンコクでも日本に比べると様々な犯罪やトラブルが発生します。最近はパスポートの盗難やスリ、ひったくりなどで日本人が巻き込まれるケースが増えているので注意してください。


政府公認以外のギャンブルは禁止

タイは政府が公認する競馬や公営宝くじ(ロッタリー)などを除き、賭博行為は禁止されています。


いざというときに知っておくと安心! タイ国内の緊急連絡先


旅行中のトラブル

ツーリスト・ポリス(24時間対応のホットライン)※英語、タイ語
電話番号

1155


在住中のトラブル

在タイ日本国大使館
代表

02-207-8500

邦人援護

02-207-8502
02-696-3002

パスポート

02-207-8501
02-696-3001

ビザ

02-207-8503
02-696-3003

夜間・休館日

02-207-8500
02-696-3000


在チェンマイ日本国総領事館
代表

052-012-500


この記事をSNSでシェア!



一番上へ戻る