日本人がかかりやすい病気

在タイ日本人がお世話になるような大手の私立病院には50〜60もの診療科があり、いざという時にはどの科を受診したらいいのかわからなくなってしまうもの。日本の医療機関と同様に、発熱や頭痛、ちょっとしたケガならまずは一般内科で医師の診断を仰ぎ、その結果次第でより細分化された診療科・専門外来にかかるのが一般的です。また、複数の症状がある場合や受診を迷ったときには、日本人患者向けの窓口に立ち寄って相談してみるとよいでしょう。

日本人がかかりやすい病気

風邪・冷房病(クーラー病)・熱中症▶▶▶一般内科へ

実は、タイで日本人が最もよくかかる病気が「かぜ症候群」だと言われています。オフィスやデパート、公共交通機関など屋内はどこもかしこも冷房が効き、ときに寒さを感じるほど。炎天下の屋外で汗をかいたままの状態で冷気に当たると、体が冷え過ぎてしまい、体調を崩す原因になります。症状が軽いからと治療せずに放置しておくと、長引いたり重症化を招く恐れも。

また、高温多湿で年中蒸し暑い気候のタイでは「熱中症」にも注意が必要です。暑さ対策はもちろんこまめに水分補給も忘れずに。「暑さ対策がタイ生活の肝」と心得て、就寝中はエアコン・扇風機のタイマー機能を活用するなど、工夫を取り入れてみましょう。


インフルエンザ▶▶▶一般内科へ

日本では12〜1月の真冬に流行しますが、冷房の影響で年間を通じて“低温乾燥状態”のタイでは雨季(6〜10月)から乾季(11〜2月)までがインフルエンザの流行シーズン。
日本よりも流行期間がだいぶ長く、年によってバラつきはあるものの毎年5万人以上が発症しています。

一般的な症状として、急な発熱(非常に高い高熱)、関節痛、筋肉痛、鼻水、喉の痛み、倦怠感などが見られ、普通の風邪よりも全身症状が強く出るのが特徴です。このような症状が現れたら、すぐに医療機関を受診してください。

タイでは年間を通して感染する可能性があるため、年に一度のインフルエンザワクチンの接種が有効です。接種しても感染する可能性はありますが、重症化を防ぐ効果は期待できます。
ワクチンは南半球型と北半球型の2タイプがあり、それぞれA型株2種とB型株2種の合計4タイプのインフルエンザウイルスに対して効果が期待できる「4価ワクチン」が普及。


下痢・腹痛(食あたり)・食中毒▶▶▶一般内科・消化器科へ

香辛料を多用し、ピリッとスパイシーな味付けが多いタイ料理。あまり食べ慣れていない刺激的な料理や体質に合わない食材を食べると、胃腸がびっくりしてお腹を下してしまうことがあります。こうした場合には水分を補給しながら安静にしたり、医療機関で点滴を打ってもらうと症状が緩和されます。

一方、食品に付着した細菌・ウイルスが原因で起こる感染性下痢症や急性胃腸炎、食中毒が疑われるときは迷わず医療機関を受診しましょう。
一定の潜伏期間を経た後に激しい下痢や嘔吐などの諸症状がみられ、最悪の場合は死に至ることも。タイでは卵についたサルモネラ菌の他、汚染された食品や水から感染する細菌性赤痢、アメーバ赤痢、コレラ、A型肝炎などに警戒が必要です。


生活習慣病▶▶▶一般内科へ

ジリジリとした真夏日が続き、紫外線は日本のおよそ3倍。外出するにはおっくうな気候条件に加えて舗装の悪い歩道も多く、移動はもっぱら車。日本にいた頃よりも歩かなくなったという人も少なくないでしょう。

こうした日頃の運動不足をはじめ、多塩・多糖・多油を使った料理が多いタイの食文化、さらには精神的ストレスの蓄積などが「生活習慣病」の一因になることは言わずもがな。
肥満、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、メタボリックシンドロームといった生活習慣病は「日本人の三大死因(ガン・心疾患・脳血管疾患)」をはじめとする重篤な疾病を誘発し、自覚症状のないまま進行するとまさに“命取り”にもなりかねません。

タイには日本のような生活習慣病の専門外来はないため、まずは一般内科にかかりましょう。


胃痛・胃もたれ・食欲不振など胃腸の不調▶▶▶胃腸科・消化器内科へ

よく「日本人は胃腸が弱い」と言われますが、食生活の変化やストレスなどの影響を受けやすい海外生活ではなおのこと胃腸のケアが大切。たとえ軽微でも不快な症状が続くようなら、“これくらい大丈夫!”と過信せずに、早めに医療機関へ。早期発見・治療により慢性化や重症化を防ぐことができます。

また、とりわけタイの医師らが40歳以上の在タイ日本人に受診を呼び掛けているのが胃や大腸の内視鏡検査です。日本人のガンによる死亡数の上位を占める胃ガン・大腸ガンですが、初期には自覚症状が現れにくく、気がついたときには病状が進行していることも少なくないのだとか。タイでは苦痛を伴うバリウム(造影剤)検査ではなく、先端に拡大鏡を搭載したカメラによる内視鏡検査が主流。定期的な検査が推奨されています。




デング熱▶▶▶感染症内科

日本ではあまり聞き慣れませんが、「デング熱(DENGUE FEVER/BREAK BONE FEVER)」とはデングウイルスへの感染により起こる感染症のひとつで、タイやマレーシア、シンガポールといった東南アジア圏では毎年猛威をふるっています。

ウイルスを媒介するヤブ蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカ)からヒトへと感染しておこる急性の感染症です。
感染すると通常3〜7日後に突然の発熱や頭痛、筋肉痛などの諸症状がみられ、軽症の場合は1週間ほどで後遺症もなく自然治癒すると言われています。まれに重症化してデング出血熱やデングショック症候群を発症することがあり、適切な治療を行わなければ死に至ることも。

タイでは年間を通じてデング熱の発生がみられますが、特に患者が増えるのは蚊の繁殖する雨季の時期。水場のある公園やゴルフ場の池など、蚊の生息場所となる水辺は特に注意が必要。また、現在までに効果的な治療薬がないことから、「蚊に刺されないこと」が唯一の予防法です。


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