GDP成長率、見通し引き下げ

バーツ高の加速で、観光業から悲鳴の声も

米中貿易戦争の煽りが止まらない。タイ中央銀行のティッタナン金融政策委員は6月26日、GDP(国内総生産)の成長率の見通しを3月時点の3.8から3.3へと下方修正したと発表。理由として、バーツ高の拡大を挙げている。7月4日時点で1バーツは0.033ドルで、過去6年間において最も高い数値をマーク。第1四半期では国内企業の約3割で売り上げが低下し、飲料業界は42%、外食産業では44%もの収益減となったという。
バーツ高の背景には、紛れもなくアメリカと中国による貿易摩擦の影響がある。脱中国企業の増加が見込まれたことから、海外からタイへの投資が増加。こうした短期的な投資は経済効果が薄く、政府主導の直接投資(FDI)の促進が求められると同氏は語る。
また、バーツ高の影響により農畜産物や水産業といった輸出産業も軒並み低下。5月の輸出率がマイナス7.2%となるなど、国内経済に悪影響を及ぼしている。無論、これはタイに限った話ではなくシンガポールのマイナス17%を筆頭に、ASEAN諸国全体が低迷している。この現状が続けば、今年の輸出率が0%に落ち込むことも想像に容易い。
産業面では、国内観光業も大打撃を受けている。観光庁のユッタサック長官によると、バーツ高によりタイ人の海外旅行者が前年比20%増の1100万人を突破。早急に国内向け観光事業の強化を図るという。さらに追い打ちを掛けるように、タイを訪れる外国人観光客数も当初予測されていた4040万人から3990万人に目減りする見込みとなった。これは、観光大国タイにとってはあまり芳しくない状況にあると言える。
しかし、頼みの政府はようやく6月にプラユット首相の続投を決定し、7月中旬に新内閣を発足させると発表したばかり。ソムキット副首相が「下半期の国内経済について非常に危惧している」と語る通り、先行きは決して明るくはない。まずは世界経済の安定を期待したいが、国民消費の拡大やインフラ建設の促進といった対応策の整備が望まれる。

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