タイのキャッシュレス

リアルからネットへ。QRコードを使用した電子決算スタート

 


8月30日、タイ中央銀行のウィラタイ総裁は、タイの主要銀行や大手クレジットカード会社で統一規格の「スタンダードQRコード」を使用した電子決算を、年内にも開始すると発表した。他国でも同様の動きは出ているが、主要銀行やクレジットカード会社が一斉に導入するのは珍しい。参加するのはSCBやカシコン銀行といった主要銀行のほか、ビザ、マスターカード、アメックス、ユニオンペイなど約20社。日本からは、みずほ銀行とJCBが参加する予定だ。旗振り役のタイ中央銀行の狙いは、タイランド4.0下でのキャッシュレス社会の実現である。

同システムを使用するにあたっては、事前に利用している銀行やクレジットカード会社のアプリをスマートフォン(スマホ)にダウンロード。支払い時に表示されるQRコードをスマホにかざすだけで、登録していた銀行口座やクレジットカードから引き落とされる仕組みだ。

同システムのメリットとしては、消費者側が現金やカードを持たずに買い物できるようになるのはもちろんのこと、店側にクレジットカード情報を知られないためプライバシーの面でも安全。飲食店などのサービス提供側も1つのQRコードを表示するだけで各種金融機関の消費者に対応することができるので、クレジットカード端末機(EDC)の導入コストなども不要となる。銀行にいたっては、現金管理維持のコストだけでも年数百億バーツかかっていることもあり、同システムが始動することでコスト減に繋がることは間違いない。すでに、地場大手のサイアム商業銀行やカシコン銀行は、大手商業施設をはじめ、食堂やバイクタクシーなどで試験導入を開始している。

タイ中央銀行によると、2016年のモバイルバンキングの利用者は2080万口座。同年取引件数は5億8400万件、取引金額は5.3兆バーツであったことが分かった。今年開始した新送金サービス「PromptPay」や、すでに開始している「Rabbit LINE Pay」など、さまざまな電子決算が登場する昨今。リアルからネットへ。タイのキャッシュレス化は、一気に加速している。

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