労働許可手続き緩和を

数千人が母国へ。罰則強化、来年1月1日に延期

 


「外国人の就労を禁止する仕事および業務を定める勅令」が産業界を中心に波紋を起こしている。新勅令とは、国際社会が批判するタイでの人身売買や人権侵害払拭を目的とした、外国人不法労働者の雇用者への罰則強化。勅令では、外国人の違法な雇用や人権侵害などを犯した雇用者に対し、労働者1人当たり最高80万バーツの罰金が科される。また、労働許可証を持たない外国人労働者には、懲役5年または罰金2,000〜10万バーツを科すといった厳しい内容だ。

官報で公開されるやいなや、“違法就労”していたラオス、ミャンマー、カンボジア人らは一斉に母国へ帰り始め、ミャンマーとの国境タイ・ターク県の入国管理事務所には2000人のミャンマー人が並んだという。また、産業界からは、「罰則が厳しく中小企業の経営を圧迫させる」といった批判が集中。そこで、プラユット暫定首相は、お得意の「暫定憲法44条(超法規的な権限)」を発動。禁錮や罰金を規定した101、102、119、122の4条の適用を180日間延期させ、来年1月1日からとした。

とはいえ、もとはといえばルールを守らず不法労働者を雇用する側や、違法と知っていて働く外国人が悪い。一旦は批判する産業界へ擦り寄った同首相も「違法労働者や人権侵害については、昔から悪いとわかっていたはずだ。経済への影響云々の前に自分たちが規律を守るべきだ」と怒り心頭のご様子。そんな中、タイ開発研究所の労働開発課職員は「これを契機にタイ企業は労働集約型からの脱却を図るべき。研究開発や事業高度化を進めれば、タイはさらに発展する」とごもっともなご意見だ。

一方で、「知識の乏しい外国人労働者にとって、タイでの労働許可を得るための手続きは煩雑で費用も高い。雇用する側(企業)も、手続きの簡素化などを求めているはず。まずは、行政が改善すべきだ」との声も聞こえる。これも“ごもっとも”である。

 

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