自粛に揺れる娯楽業界

国王崩御により、国全土が服喪期間のタイ
自粛によって影響を受けた娯楽業界の現状

 

10月13日のプミポン国王崩御に伴い、現在、国全体が1年間の服喪期間にあるタイ。崩御翌日にはプラユット暫定首相が会見し、国民に対して娯楽の自粛や適切な行動を要請。これを受け、服喪期間に入った直後は、さまざまなイベントの中止・延期が発表された。
今月14日に行われる予定のロイクラトン祭りも一時は中止とされていたが、タナサック副首相は一転、開催を発表。ただし、美人コンテストやコンサートは行わず、花火などを使用する際には政府の許可を必要とした。また、今年の年越しに関しては娯楽性の強い催しは避け、夜に読経を行うという。このように伝統的な祭りをはじめ、部分的ではあるがイベント開催が緩和されている一方、野外コンサートや、公共の場所でのライブイベントに対しては自粛ムードが色濃い。
国内有力ニュースサイト「プラシャータイ」(prachatai.org)が、出張演奏などを手配するイベント会社に取材したところ、開催予定だった約80件の野外コンサートはすべてキャンセル。来年6月まで(野外コンサートの)売上がない状態だという。
タイ楽隊協会のスントーン会長によると、「この業界ではオークパンサー明け(10月16日)から繁忙期が始まり、特に4月のソンクランは最も忙しくなるとき」で、来年に向けて多くのオファーを受けていたとのこと。中止に伴い保証金を返却しなければならないが、すでに楽器や音響機器の購入等、イベント準備に使っており、手元には残っていない。さらに、「購入した機器の買い取り手を見つけるのも難しいだろう」と嘆く。また、「国王陛下の崩御を悼み謹んでお悔しみ申し上げます」としながらも、会長の立場から、売上が回復するまでは金融機関への債務返済を待ってもらうなど、同業界への救済措置をとってほしいと政府に訴えた。
タイ政府は11月1日、「14日より娯楽イベントの規制を解除する」と発表した。しかし、プラユット暫定首相は引き続き配慮ある行動を求めているなど、野外イベント再開のめどは立っていない。
タイ商工会議所のコーシット氏は、同業界の声として、「できるだけ早い段階で娯楽イベントの解禁をしてほしい」と語った。

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