高級腕時計は誰のもの?

有名調査機関の所長辞任で思わぬ波紋

 


昨年12月に撮影された、プラウィット副首相兼国防相の右手にはめられた高級時計。この何気ない写真が公表されて以降、国内ではさまざまな波紋が起きている。

同ポジションに就任した2014年、国家汚職防止委員会 (NACC)へ報告された同氏の所有財産と資産報告書には、その腕時計がなかったどころか、就任以来身につけていたロレックス、パテックフィリップ、リシャール・ミルなど計25本、総額3,950万バーツ(約1億3,700万円)相当も記載されていなかったとのこと。これについて同氏は、「知人から借りたものだったが、昨年亡くなったため、親族にすべて返却した」と説明するものの、沈静化せず。連日メディアを賑わせている。

そんな中、タイ国立開発行政研究院(NIDA)の調査機関ニダポールのアーノン所長は1月28日、個人のフェイスブック上で「私の仕事は国民の声を世に伝えることだが、それが出来なくなってしまった。明朝、辞任する」と投稿。「所長に就任して、初めて公表前に上層部の承認を得なければならない状況となった。これでは、公明正大な調査ではない」と、高級腕時計に絡む調査結果で、上層部から待ったがかかったことに不満を抱き、メディアに対してコメントを出した。

一方、NIDAのプラディット学長は「現在、国家汚職防止委員会の捜査段階であり、仮に調査結果を公開した場合、混乱を招く恐れがある」と説明。さらに、調査内容の事前提出については、「NIDAに影響があるかのみの確認だ。今まで政府から調査結果に対してのクレームはゼロ。同氏は同ポジションに就いて2週間だったので、ルールを知らなかったのでは」と話した。

平民出の編集子としては、仮に友人が高級腕時計をしていれば「羨ましい」と思うだけで問題視などしないが、公人となるとそうもいかないらしい。政府広報担当は「事実無根」とコメント。それよりも、関連法案の延期で、年内に総選挙ができるのかの方が国家としては大事な問題であり、政治を停滞させないでほしい。

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