11人殺傷。タイ全土に衝撃

警察庁長官が陣頭指揮。訪問者を次々、監禁・殺傷事件

 


10日深夜、南部クラビー県の民家に迷彩服姿の集団が押し入り、発砲。子ども3人を含む8人が死亡、3人が負傷する事件が発生した。事件後、生存者の証言から生々しい当時の様子が明らかになり、タイ全土に大きな衝撃をもたらしている。

10日午後、突如、7人の迷彩服の集団が地元村長宅に侵入し、家にいた村長の娘(14)を監禁。悲劇はそこから始まった。娘を訪ねてきた友人やその両親らを次々に監禁し、村長が妻と他の子ども2人を連れて帰宅したのは午後8時頃。犯人らは計11人を監禁した。

証言者によると、犯人が村長に銃を渡し、「全員を撃て」と発砲を強要。村長が拒否すると、村長から銃を奪い自ら発砲。11人全員が倒れ込んだ後に逃走した。生存者の一人は「耳を撃たれ、気絶したおかげで助かった」と九死に一生を振り返る。

あまりの凶悪かつ、凄惨な事件に、警察はチャッカティップ警察庁長官が自ら現場に入り、陣頭指揮を執る異例の捜査体制を敷いた。そして、数日で見事に逃走犯全員を逮捕。事件の全容が明るみに出た。

警察は、首謀者のスーリーファット容疑者のほかは、カネで雇われたに過ぎず、発砲も同容疑者によるものと断定。村長との因果関係を公表した。それによると、2人の関係は村長が土地を担保に同容疑者から70万バーツを借りたことから始まる。その後、村長は土地を取り戻すため借りたカネを返すも、同容疑者が土地の権利証を渡さなかったことから関係が悪化。話し合いは続くも折り合いがつかず、しびれを切らした容疑者が殺害を計画、実行したという。

逮捕後、同警察庁長官は「容疑者は死刑だろう。逮捕時に抵抗していれば、生け捕ることはなかった」と厳しい口調で事件を語ったほど。

なぜ、関係のない人たちまでも巻き込まなくてはならなかったのか。無念のうちに亡くなった犠牲者がただただ偲ばれる。

 

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