10年間の入国禁止

厳しい罰則を盛り込んだ不法滞在の新規定を、3月20日から実施する

 

先進国の仲間入りの足がかりなのだろうか−−。タイにおける不法滞在者への新たな罰則を盛り込んだ規定が、3月20日より施行される。
昨年11月27日、政府は官報で不法滞在(オーバーステイ/以下OS)に関する新規定を発表。最大10年間の入国禁止を盛り込んだ内容で、自首した場合と逮捕された場合で罰則は異なる。自首は、OS90日以上=1年間入国禁止、同1年以上=3年間入国禁止、同3年以上=5年間入国禁止、同5年以上=10年間入国禁止。逮捕は、同1年以下=5年間入国禁止、同1年以上=10年間入国禁止。90日未満については、自首の場合は罰金のみ、逮捕の場合は1日のOSでも5年間の入国禁止となる。従来のOSの罰則は、1日500バーツの罰金、上限2万バーツだった。100日超えようが、2万バーツさえ支払えば許されていた実情。そして、違反者は一度、別の国に行き、再びタイに舞い戻るというのがお決まりのパターンだった。不法滞在者が減るはずがない。
新規定の導入背景には、いくつかの理由がある。言わずもがな、タイは年間約3000万人(2015年)の外国人観光客を受け入れ、1兆4500億バーツを売り上げる、世界に名だたる観光立国。国家を支える収入源のため、あらゆる国から観光客を呼び込み、そして優遇してきた。結果、不法滞在者が増え、犯罪件数も増加。極めつけが、昨年8月に起きたバンコク連続爆弾テロ事件だった。当時の観光業界の冷え込みぶりは、誰もが知るところだろう。
また、ミャンマー、カンボジア、ラオスといった近隣国からの不法労働者も大きな課題。世界の評価基準の「人身売買問題」で、現在も最低ランクに位置づけられているタイ。劣悪過ぎる環境として衝撃を与えた漁業での違法労働は、世界でも広く報道された。それらのネガティブイメージを払拭し、犯罪を抑制すべく、政府も重い腰を上げたというわけだ。
昨年からビザランの取り締まりが強化されたのは、記憶に新しい。アメリカしかり、イギリスしかり、先進国とは軒並み不法滞在者に厳しいもの。観光立国であれば、避けることができないのも当然。これもまたタイが歩むべきステップの一つなのだろう。

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