プミポン国王、崩御

王宮へ集う群衆の足止まず、国父への敬愛の深さ計り知れず

 

2016年10月13日、在位70年と4ヵ月、世界最長の現役君主であった、プミポン・アドゥンヤデート国王(ラマ9世)が崩御された。88歳だった。タイ国民からは絶大なる支持と尊敬を集め、強い指導力で国家の危機を乗り越えてきた偉人であることは、世界から衆目の一致するところ。
翌朝、王宮前には深夜から集まったであろう、喪服をまとう多くの国民の姿があった。数万人、いや、時間が経てば何十万人となるに違いない群衆は、皆がその悲しみにくれていた。
ノンタブリーから訪れたスニーさん(64)は、涙をすすりながら「国王は樹木のような存在で、国民はその傘の下で幸せに暮らしてきました」と偲び、大学生のソラウィットさんは「幼い頃から、国民のために働き続ける父のような存在でした」と国王に対する尊敬の念と親しみを込めて語った。
プミポン国王の功績は、映像や文字を通して世界中のメディアが伝えてくれている。王宮前にあるのは、“敬愛”の二文字を胸に抱き、父と慕い集まるタイ人の“誠の心”だった。
ふと目を向けると、人々が沿道に集う中、王宮前の芝生に、ひとり王宮に向かってひざまずき、しばらくの間、頭を垂れる男性の姿があった。そして、70歳を超えるという彼は立ち上がり、「国王の在位期間と同じだけ生きてきました。これほど、国民のために尽くした国王はいません。今の私とタイの繁栄に感謝を伝えました」と話し、王宮前を後にした。
深い悲しみから一夜明けたバンコクは、いつにも増して暑く、ジリジリと照りつける太陽はアスファルトを溶かし、靴底を黒く染めた。王宮での弔問時間は朝8時半〜12時までとされ、列の途中で打ち切られることは誰しもが容易にわかった。それでも、王宮へ向かう足は止むことなく、老若男女すべてのタイ国民の心が国王に注がれ続けた。
多くの在タイ日本人も同じであろう。同国で働かせてもらう外国人である以上、感謝の念は尽きず、祈りと思いは、すべてのタイ国民と共にある。プミポン国王陛下のありし日の姿を偲び、ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

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