最後の棺

前国王のため、100人の職人が集結した

 


ついにこの日が来た。前国王の崩御から約1年間、そのご遺体は特別な棺に収められ、チャクリー・マハ・プラサート宮殿で安置されてきた。そして、延べ1273万9531人の弔問者が訪れた。

一般的な棺は横に眠る様式だが、王室関係者はみな座る様式と定められ、高さのある筒状の棺が使われている。まず「プラ・ローン」と呼ばれる鉄と銅で作られた筒状の容器に収められ、さらに寺院の尖塔に似た「プラ・ボロマゴード」と呼ばれる、宝石やガラスが装飾された金の棺の中に入れられている。

火葬式当日は、宮殿から火葬式場へ棺のまま運ばれた後、火葬用の棺「プラ・ゴードチャン」に移されるという。同棺は、高さ2.38m。プラ・ボロマゴード同様のフォルムだが、神聖な木としてタイで大切にされるサンダルウッドの木片を使い、鉄で作られた土台を覆っている。選ぶのは、樹齢100年以上のものだけ。着火すると深く甘い香りが漂うと言い、王室の火葬式で代々使われている。さらに、タイの仏教神を代表する「テープノム」が64体、棺の形に沿うように飾られている。まるで前国王が心安らかに天へと召されるように。製作を担当した芸術局十部門職人部は、「プラ・ゴードチャンには46の彫刻モチーフをデザインして約1万個の木片を使い、その台座として用意されたヒープ・プラ・ボロマソッブチャンには24の彫刻モチーフと約3万個の木片を使った。それぞれにタイの伝統的な模様を取り入れ、美しさと繊細さ、国王への敬意を表現した」という。製作には100人の職人、9カ月の期間を要した。

本誌ではこれまでに、国民からの強い敬愛の念を受ける前国王の多大なる功績を紹介してきた。在位70年、4400以上の王室プロジェクト、高徳な人柄に加え、国民がいかに敬意を払い、父と慕ってきたかを身にしみて感じてきた。過去を凌駕する豪華絢爛な棺も、国民の想いの表れだと認識している。そんな想いが詰まった棺が今、前国王の訪れを、式場で静かに待っている。

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