マッカサンにカジノ?タイ国鉄の経営再建計画は奏功するのか

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借金返済で超優良地を手放す国鉄。
各国企業が狙うのは同地の再開発

タイ財務省財政局は7月23日、国鉄が所有するエアポートレールリンク・マッカサン駅周辺の土地497ライ(1ライ=1600㎡)の再開発計画の入札を年末以降で実施すると発表した。国鉄の経営再建の一環で、土地を財政局に99年間貸し出す代わりに、国鉄が抱える債務約850億バーツの大半(約700億バーツ)を肩代わりするもの。

「国鉄再建・巨額債務?」と言えば、日本も身に覚えのある経験。新幹線開発に始まる設備投資によって背負った巨額の借金を払えず、にっちもさっちもいかなくなった日本国有鉄道の姿がよぎる。日本の国鉄は、1987年、“JR”として6つに分割民営化された。

タイ国鉄も設立時から赤字経営が続いている。運賃が適正を欠いた額(安価)であることは周知の通り。これでは、線路や駅、車両、運行・通信施設など設備の維持、動力や照明のための電力、人件費といった輸送コストを賄えない。

一方で、タイは経済発展を背景に、輸送力の需給が逼迫。政府は、総延長数千キロの複線化や高速化計画をぶち上げ、鉄道整備計画を急がせている。そんな状況下である以上、赤字の垂れ流しは、ほっておけない。先ずは借金を返済し、身動きをとれやすくする。その上で、人件費や運営コストの見直しに着手し、経営再建を果たしたいはず。

マッカサン周辺の再開発計画は、経営再建策の目玉。財務省は、ここに博物館や公園、商業用地の開発を熱望している。とはいえ、同地は商業施設が並ぶラマ9エリアに近く、高速道路やアソーク通り、ペッブリー通り、エアポートレールリンクが接続する超優良地。すでに、世界的なカジノリゾート運営会社「ラスベガス・サンズ」やタイ有力企業のほか、日本、マレーシア、シンガポール、イギリスといった各国の企業が名乗りを上げているという。ただ、国主導の再建計画だけに、遅々として進まなさそうな気配もある。少々、乱暴だが、日本のJR(Japan Railways)ならず、民営化=TR(Thai Railways)にしてみたらいかがだろうか。

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