首相・内閣公選制を導入!?

首相・内閣公選制を導入!?

過去の議会政治にNO。国民の約7割が賛成

タイの政治が、根本から変わろうとしている。現在、タイはプラユット暫定首相が束ねる軍政国家であり、彼らが目指すのは、政治改革後の新たな民主主義国家。その改革を議論するタイ国家改革評議会(NRC)が、“ウルトラC”的な提案をぶち上げ、世間を驚かせている。

12月8日、NRCは首相と内閣を国民による直接選挙で選出する制度を、新憲法起草委員会(CDC)に提案すると発表した。つまりは「首相・内閣公選制」の導入だ。ちなみに、タイはクーデター(5月22日)前までは、日本と同様に国民が選挙で選んだ代表者が首相を決める“議会制民主主義”を採用してきた。

NRCのソムバット委員長は提案理由について、「これまでの立法(国会)と行政(内閣)は、第一党が担うため、野党が内閣不信任決議を出しても否決されてきた。政治の独占が汚職や腐敗の要因となっていた」と説明する。だが、選挙で大勝した政党が第一党となるのは当然で、議会制民主主義を採用する現在の日本(自公連立だが、実質自民党が第一党)も同じ。それでも、同委員長は「腐敗の温床を根絶する」の一点張りで、根本的にルールを変えるしかないと判断した。

新制度はこうだ。各政党が選んだ首相候補を選挙で選ばれた国会議員で絞り込み、最終判断を国民の直接投票で決める。また、選挙中は、各省庁の次官が大臣を代行。大臣代行の中の代表が首相を代行するなど。ちなみに、調査機関ニダポールによれば、国民の66・8%が導入に賛成しているという。長らく続く議会政治の混乱に辟易しているということか。

とはいえ、反対意見もある。確かに国民が直接選べば公平性は高まり、派閥政治も薄れる。ただ、仮に少数政党の代表が首相となれば、多数決を基本とする議会弱体化は否めない。一方で、「首相が強権化し、首相への監査ができず、汚職問題は解決しない」(民主党のニピット副党首)などの指摘もある中、プラユット暫定首相は「個人的には政治家になるつもりはないので、改革後の選挙には出馬しない」と我関せずといったご様子。いずれにせよ、提案を受けたCDCは、19日には判断を下すというから注目したい。

【写真上】自らの出馬を否定したプラユット暫定首相

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