財閥CPが小売の巨人に

テスコ・ロータスを買収、市場シェア7割を掌握へ

大手財閥「チャロン・ポカパン(CP)グループ」が小売業界で勢力を急拡大させている。

9日、英・小売大手「テスコ」の東南アジア事業を買収すると発表。今後、「テスコ・ロータス」のブランド名で展開しているタイとマレーシアのスーパー・コンビニエンスストア全2035店(タイ1967店、マレーシア68店)の引き継ぎを進める。

これでタイにおける同グループの小売事業の売上高は約7,000億Bとなり、市場シェアの7割を握ることになる。

CPグループは現在、「セブンイレブン」1万1718店とスーパー「Makro」134店を運営し、昨年は全店で5,210億Bの売上を計上した。これはタイ全国の小売市場規模9,940億B(タイ小売業協会試算)の過半数を占める水準で、いわゆる「独占市場」における優越的地位にあると言える。

さらに昨年12月、英テスコが事業の売却を発表すると、同グループはすかさず“ラブコール”。

入札を競った大手財閥「セントラルグループ」の2,800億B、「TCCグループ」の3,000億Bを上回る3,384億Bを提示し、英テスコの東南アジア事業を手掛ける「テスコホーディングス」「テスコホールディングスBV」の株式を勝ち取った。今後、タイ貿易競争委員会(OTCC)から企業合併の承認を経て、7~9月に手続きが完了する予定だ。

CPグループが小売業界の独占状態を盤石なものにした今回の買収劇だが、消費者にとってはプラスに、商品のサプライヤーにとってはマイナスに働きそうだ。

マーケティングやブランディングを専門とする「タイ商工会議所大学」のブッパー教授は「CPグループは圧倒的な販売力を背景に、メーカーや卸売業者などに仕入れ価格の値下げを要求する可能性がある」と指摘する。

一方、同教授は店頭で商品が安価に販売され、値下げの恩恵は消費者に向かうとみている。

しかし、物価が下がれば流通に関わる企業の収益を圧迫し、景気悪化を招く危険性もある。

巨大化した同グループがこれからどう動くか、注目が集まるのは間違いない。

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