新・国家目標「BCG経済」

環境重視型の成長戦略を描き、 5年でGDP年率24%増をぶち上げる

中所得国の罠からの脱却に向けた緒は、タイの強みである農業の底上げと循環型経済の早期拡大にある−。

今月13日、閣議後の定例会見でプラユット首相はこう意義を強調し、持続可能な開発目標(SDGs)として環境的アプローチから産業高度化を狙う「BCG経済」を2021〜26年の国家目標に掲げる方針を明らかにした。

ここで言うBCGとは、資源の有効利用を促進する循環型経済モデル「バイオ・サーキュラー・グリーン」の3分野を指す。

環境志向型への転換を謳うタイでは近年、ラマ9世が提唱した「足るを知る経済(=セッターギット・ポーピアン)」の訓えを踏襲したBCG関連産業への投資を加速。

また長期開発計画「タイランド4.0」の旗印のもと、2036年までに高所得国への仲間入りを目指していることは周知の通りだが、「BCG経済」では同開発計画のターゲット産業である ①農業・バイオテクノロジー ②バイオ燃料・バイオ化学 ③医療・ヘルスケア ④観光の4分野を網羅。

こうした要因から「BCG経済」を国家の成長モデルとして位置づけたのだという。

タイ投資委員会(BOI)ではバイオテクノロジーや再生可能エネルギーの研究開発、廃棄物・リサイクル関連事業といった環境負荷の低減に貢献するBCG事業者に対し、税制上の恩典も付与している。

加えて、現状での導入には国内経済の新陳代謝や立て直しのための起爆剤といった意味合いもあるのだろう。

折からの新型コロナウイルス感染症によって国内総生産(GDP)の2割を占める観光業など多くの産業が斜陽化し、外需回復の見通しも不透明。

こうした背景もあり、政府としてはタイを内側から潤す高付加価値産業の強化に乗り出したと見られる。

現段階では「BCG経済」の具体的な道筋は示されていないが、サトウキビやパーム油といった農産物を活用した燃料生産や廃棄食料によるサステナビリティ事業などは年々存在感を増し、政府では26年までの向こう5年でGDP年率24%増となる4.4兆Bを見込む。

関連法の整備など課題も多いが、タイの未来を照らす新・国家目標に期待せずにはいられない。

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