AEC発足。どうなる2016年

歴史的な幕開けとなるか。昨年末にスタートしたASEAN経済共同体は、タイに好影響をもたらす?

 タイの2016年が始動した。何はさておき、キーワードは昨年末に発足した「ASEAN経済共同体(AEC)」である。目指すは、域内のヒト、モノ、カネ、サービスの移動を自由化させ、人口約6億2000万人の単一生産基地と市場を形成すること。カギを握るのが、陸続きのASEANでの物流だ。

現在は、タイを中心に自動車や電機・電子部品の製造業の産業集積地(サプライチェーン)が構築されているが、域内の自由化が進めば、自ずと工場も賃金の安い周辺国に広がる。タイにとって、工場と労働力の分散は、産業の衰退にもつながるが、政府は国境付近に経済特区を設け、進出企業に恩典を与えるなど、自国の発展にも抜かりはない。また、特定産業を地理的に集積させる「クラスター型経済特別区」の設置も決定。これらは、タイ政府が掲げる「中進国の罠からの脱却」、つまりは研究開発や高付加価値製品の製造といった産業の高度化による新たなステップアップを意味する。

さらにAECによる発展を見据えたのか、経済担当のソムキット副首相は「16年の海外直接投資は、投資奨励制度を拡充した成果が見られたため、15年(2100億バーツ)の倍にあたる4500億バーツを目標にした」、商務省輸出振興局のマーリー局長も「タイからの輸出は15年から5%拡大すると予想する」と、いずれも強気な目標設定をぶち上げた。

一方、AECには課題もある。物流業界から「通関手続きや国内法の整備などの非関税障壁を撤廃・改善しなければなりません」と聞こえてくる通り、現状は、通関手続きの時間や国境付近でトラックに荷物を積み替える手間が大きな輸送コストとなっている。すでに加盟国間の関税はほぼなくなっていることを考えれば、AECを真に享受するには、非関税障壁の早期撤廃が必要だ。AECという枠組みはできたが、外国人(法人含む)を規制する外国人事業法や前述の交通関係の国内法などの整備は遅々として進んでいない。上昇志向な目標を立てることは大いに結構だが、絵に描いた餅に終わるのか、それとも実効性のある対策を講じるのか……この一年を注視したい。

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