課題は山積み…果たしてAECは本当に発足できるのか?

AECは本当に発足する?

ASEAN加盟各国、
関税撤廃の足並みは未だ揃わず……

2015年度末にASEAN経済共同体(ASEAN Economic Community:AEC)が発足される。
これは、すでに6億人を超えるマーケットに成長したASEAN域内のモノやヒト、サービスの流動化が目的。ただし現在、加盟各国の対応は整っているとは言い難いのが実情である。特にラオス、ミャンマー、カンボジア、ベトナムの4ヵ国の整備が遅れているとされ、流通の根幹となる関税も足並みが揃っていない。タイ、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、インドネシアはすでに一部例外を除いて関税を撤廃しているが、前記4ヵ国は現在平均5%であり、年内に0%を目指している状況。

問題はそれだけではない。イスラム教が国教のマレーシアでは、ハラール認証を避けられず、特定の業者のみが輸出入を行い、タイでは大豆やトウモロコシ、コメに輸入制限、石油や化学製品などは輸入許可が必要となり、完全自由化には至っていない。各国ともなんらかの規制を設け、国益を優先しているのだ。

タイは「ASEAN No.1」を掲げており、成長する分野とみられているのが、農産品、加工農産品、果物、自動車部品、化粧品、宿泊施設など。一方、劣勢とされる分野が、石油化学製品、パーム油、金融、物流、通信などである。また、タイと競合となるのが、マレーシアとシンガポールとされ、賃金の高い両国にタイから人材が流出する可能性も指摘されている。

ただし、タイは観光、医療、高齢者サービス、美容などの分野では、東南アジアにおいて突出しており、もはや世界レベルにまで達している。陸路・空路など地政学的にもハブであり、東南アジア4位の人口など、マーケットとしても非常に魅力的であるのは間違いない。

しかし、冒頭で述べた通り、AEC発足までに懸念材料が多く残るのも事実。
ASEANは言語だけでも8つあり、英語が普及しているわけではない。宗教においては、仏教、イスラム教、キリスト教と分かれており、同じ地域統合体のEUよりも難しい問題を抱えている。ASEAN首脳会議においても、自国の利益追求が目立つなど、明るい兆しはまだ見えてこない。

果たして本当に“共同体”は実現できるのか—。本誌では今後も注視し続けていく。

【写真上】2014年11月にミャンマーの首都ネピドーで開かれたASEAN首脳会議 写真提供:Royal Thai Goverment

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