“TPP”タイは、どうする?

「中国か米国か」。決めかねる政府をよそに、近隣国との競争に焦る経済界

10月5日、日本や米国など12ヵ国が参加するTPP(環太平洋経済連携協定)が、5年以上の交渉を経て大筋合意に漕ぎ着けた。それにともない、タイでは参加の是非をめぐる議論が活発化している。
大元締めのプラユット暫定首相は 「(締結まで)時間はある。焦らずともよい。見極めてから参加しても遅くはない」と慎重姿勢を示し、経済担当のソムキット副首相も「農業への影響が懸念される」と消極的だ。一方で、タイ経済界は政府の重鎮とは真逆の姿勢。タイ商工会議所のポーンシン顧問は「最初から参加していれば、(タイにとって)有利な条件を提示できたが、後では遅い。そもそも、貿易交渉の席では、メリット・デメリットを踏まえた上で、将来的な国益を考えながら交渉するのが本筋」と、重鎮らの後出しジャンケンを否定。また、同会議所大学国際貿易研究所のアット所長も「タイは、貿易額の大きな米国、カナダ、メキシコとのFTA(自由貿易協定)を結んでいない。(ASEANの参加国)ベトナムやマレーシアに先行されてしまう」と懸念する。タイ開発研究所のデュアンデン所長に至っては、「TPPに参加しなければ、米国との関税率が約21%の繊維業は大打撃を受ける。GDPの0.6%を失うだろう」と具体数値を盛り込みながら参加を促した。
そもそも、タイは、インラック政権時代の2012年11月に訪タイしたオバマ米大統領に、TPP交渉への参加を約束していた。ただ、その後の政情混乱で忘れさられ、すっかり出遅れた格好となった。当然、経済界が心配するのは、TPPへ参加するASEAN諸国に、貿易面(競争力)で遅れを取ること。なかには、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)やFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)で十分との意見もあるが、貿易摩擦の激しい米国と中国が同意することは容易ではない。まして、中華系の多いタイでは、中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加していればよいという考えも強い。
とはいえ、ある経済評論家が「陰りが見えた中国経済は、大失速する可能性がある」と話す通り、先日の上海株暴落は、中国バブル崩壊の予兆かもしれない。米国と中国の間で、十八番の〝二股外交〞を繰り広げるタイの戦術が奏功するかは不透明だ。

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