ラジオでタイを発信する
北海道FM局・ディレクター


北海道のラジオ局「FMノースウェーブ」で、今年6月に13周年を
迎えるタイ紹介番組「Sabaai Sabaai Thailand」。立ち上げから
ディレクターとして携わる城野康子さんが見つめてきた、タイの魅力とは。

「1週間後、タイへ取材に行って、タイの紹介番組を作ってほしい」。

外資系番組制作会社勤務を経て、北海道のFMノースウェーブでディレクターとしてさまざまな番組を担当する城野さんのもとに、同局社長から緊急指令が届いたのは2005年。タイは当時、前年に起きたスマトラ島沖地震での被災と風評被害により、観光業が低下していた頃。

10年以上、タイ駐在経験のある社長が、「甚大な被害を受けたタイへ向けて、何かサポートができないか。北海道の皆さんにもっとタイの魅力を伝えたい」と、城野さんに白羽の矢を立てたのでした。

「10代の頃から洋楽を好み、欧米に目が向いていたので、アジアは未知の世界でした。もちろんタイを訪れるのも初めて。広辞苑並みに分厚い資料を手渡され、タイについてとにかく必死に勉強しました」と笑います。

初めてのタイは、4日間で3カ月分の内容を取材(!)。強行スケジュールから2カ月後、「Sabaai Sabaai Thailand」は産声を上げました。

“ラジオで海外旅行番組”というコンセプトに、周囲では驚きの声が広がります。前例がないゆえ、試行錯誤の連続……。ブログ上に取材時の写真を多数載せることで番組と連動させ、“耳と目で楽しむガイドブック”のスタイルを確立。気づけば、同局の長寿番組になっていました。

“アメージング・タイランド”
このひと言に尽きますね

ディレクターとして裏方に徹していた城野さんですが、2010年からはレポーターを兼務。「現地に詳しいディレクターが担当した方が、よりリアリティが出る」という周囲の後押しから覚悟を決めます。

「ラジオは言葉が全てです。私の見ているもの、目の前に広がる光景を、いかにリスナーの皆さんにもイメージして頂けるか? 言葉の選び方や言い回し、例えなど、自分のレポートを編集しながら反省することしきりです」。そう、難しさを口にします。

心に留めているのは、番組を初めて聞いた人たちの目線。「タイに慣れ過ぎて、タイを知らないリスナーを置き去りにしてはいけないと常に肝に銘じています。でも、情報にこだわり過ぎて先入観を持ち過ぎてしまうのもつまらないので、レポート内容やブログは気を配ります。タイ国政府観光庁(TAT)の掲げる新コンセプト“Open to the New Shades”と重なるかもしれません」。大事なのは、タイという国に身を置いた時に何をどう感じ、どんなインスピレーションを得られたか。

今や、ブログやSNS上でいくらでも観光情報が手に入る時代。現地に行かないとわからない景色や現地の人の言葉、想いを拾い、伝えることが自分の役割であり、メディアとして必要だと城野さん。

「例えば、タイ東北部の米と魚を発酵させた『プラー・ソム』という伝統料理が日本の鮒寿司の基になっていたり、日本の鶏卵素麺にも似た伝統菓子『カノム・フォイトーン』はアユタヤ時代に日本ルーツの女性が伝えたとされていたり。単なる店舗紹介・料理取材ではない、裏の“ストーリー”もお伝えしたいんです」。

取材でタイ各地を回りながら、その土地の文化を体感して来た城野さんは、ここ数年で新たなタイの面白さを発見。

「これまで点だった各地の文化や歴史が、番組開始から10年以上を経て、線として繋がってきました」―――それは、城野さん自身がタイの魅力を掘り下げ、追い続けて来た証。その足跡は軌跡となって、タイ全土に刻まれています。

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番組スタートのきっかけともなった、大好きなカオラックの夕陽


PROFILE
城野 康子
Yasuko Jyono
1968年、兵庫生まれ。学生の頃から民放ラジオ局にて番組制作に携わり、カナダの大学・専門学校卒業後、93年より北海道のFMノースウェーブ制作ディレクターとして数多くの番組を担当。2005年スタートの「Sabaai Sabaai Thailand」ではレポーターも兼務。日本とタイを行き来しながら海外旅行番組、メディアコーディネート、ツアー企画なども行う。

 


Sabaai Sabaai Thailand

FMノースウェーブ 毎週日曜 10:00〜11:00に放送中!

タイ国政府観光庁・タイ国際航空提供番組。ディレクター自らがタイを取材し、その魅力をさまざまな角度からご紹介。日本ではラジオアプリ「radiko」で全国聴視可。タイでの聴視は番組ブログより可。

[問い合わせ]
Website:825.fm/weblog/sabaai


編集部より
日本三大音楽フェスのひとつ、北海道「ライジング・サン」と、タイのNo.1フェス「ビッグマウンテン」でお互いのブース出展をコーディネートした城野さん。タイと日本それぞれの魅力を、ラジオを越えて発信する姿に刺激をもらいました(山形)

取材・文 山形 美郷


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