タイでの“子育てのヒント”に
“育児に関わるサポートを

アヤさん(メイド)紹介、育児サークル立ち上げ、育児イベントの
運営ボランティア……育児・子育てに関するサポートを続ける
後藤由佳さんが、活動を通して気づいたこと、感じたこととは。

日本で12年間、保育士として子どもたちに関わってきた後藤さんがタイに来たのは、2001年。「当時のタイは何をするにもタイ語が必要で、アヤさんに通訳してもらって用事を済ませるのが日常でした」。カルチャーショックの連続だったタイ生活を楽しいと思えるようになったのも、アヤさんとの交流がきっかけだったのだそう。

タイ語の辞書を片手に最低限のコミュニケーションしかとれなかった後藤さんはある日、アヤさんの自宅に招待されます。「いったいどんな場所に連れて行かれるのか不安もあったんですが、それ以上に興味が上回って。バイクにまたがり、いつでも助けを呼べるようにと携帯を握りしめて向かった先は……プラカノンの奥にあるセキュリティ付きの住居でした」と笑います。そんなタイ人のオープンな性格と懐の深さ、さまざまな貧富の差を教えられ、タイへの興味は増していきました。

そのアヤさんは4年後に退職しましたが、その後も電話を通して関係は継続。数年後、再びバンコクへ戻って来た彼女に、勤め先を紹介したのが“アヤさん紹介ボランティア”の始まりでした。

それをきっかけに、彼女が知人をどんどん連れてくるようになり、全盛期には年間100人以上のアヤさんを紹介したことも(!)。

「『奥さんが会って、いいと思ったら紹介してくれればいいから』と彼女には言われていたのですが、皆さん日本語や料理などスキルの高い方ばかり。数は減ったものの、今も不定期で紹介しています」。

やっていたことが、気づいたら
ボランティアになっていました

後藤さんが育児サークル「サバイジャイクラブ」を立ち上げたのは、長男出産から1年後の2010年。息子さんの育児に励む一方で、同じタイで子育てをするママたちの“交流の場”を築いていきます。

「今では、サークルや託児所など子育てのサポート施設は多数ありますが、当時は少なくて。それなら自分たちで作ろう! と友人と意気投合したのが始まりです」。

お互いの自宅を開放し、手遊びや歌、工作、悩み相談など、それまでの経験を生かして月1回の活動がスタート。大きく宣伝せず、口コミで広がっていった活動は、今年で7年目。「幼稚園に預けるほどではないけれど、どこかで同世代の子育てママと集まりたい。

そんな時、友だちの家に来るように、気軽に参加出来る場所として、サバイジャイを思い浮かべてもらえたら。悩みを吐き出して、共有できる場になれればと思っています」。

タイでも日本でも共通するのは、“大変じゃない子育てはない”ということ。「子育ては、みんな大変なんです。ただ、幼児教育に携わってきて感じるのは、小さい子ほど、自分が時間をかけた分だけ成長として返ってくること。それは自分で経験しないとわからないものですが、今が大変だと抱え込まず、少しでも前向きに捉えられるようサポートしたいですね」。

そんな活動の傍ら、自身が出産を経験したバムルンラード病院の子育てイベント「ママとベビーの会」を、立ち上げからサポート。タイでの子育てに悩みを抱えるママたちの聞き役として、想いを汲み取り、寄り添って来ました。「小さい頃の環境が、大人になった時に大きく影響してきます。自分が携われる範囲でできることがあるなら、喜んでくれる人がいるなら、手を貸し続けたい。それだけです」。

できることを、求められる場所で実行する。後藤さんの活動が、タイの子育てママたちに勇気をくれます。

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自宅での育児サークルの様子


PROFILE
後藤 由佳
Yuka Goto
1968年、広島生まれ。保育士として日本で12年勤務。旦那さんの駐在に伴い、2001年来タイ。2009年、長男を出産。2010年、育児サークル「サバイジャイ」開設。リフレッシュ方法は、睡眠とマッサージ。

 


サバイジャイクラブ

6カ月〜2歳を対象としたバンコク育児サークル

月に一度、不定期で開催。日本で12年間保育に携わった後藤さんとサポートスタッフがママたちの交流の場を提供。手遊びや歌、工作など育児のヒントが満載です。

[問い合わせ]
Facebook:バンコク育児サークル サバイジャイクラブ


編集部より
「自分の子育てが100%できているかと言ったら、そうじゃないんですよ。完璧を求めすぎると、自分も子どもも追い詰められて逃げ場がなくなってしまいますから。私は日々、自分の背中越しに息子が見ていると思って行動していますね」。後藤さんは最後に、そう話してくれました


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