タイ人デザイナーと伝えたい 美を引き出すオーダーメイド服

日本女性の美を競うミスコンテストへの出場がきっかけで、オーダーメイド・
ドレスが持つ力を体感した加藤忍さん。その魅力をもっと多くの人に伝えたいと、
タイ人デザイナー・キムさんと共に、日タイを越えた挑戦が始まりました。

「昔々あるところに…(Once Upon A Time)」。そんなおとぎ話のような胸躍るストーリー性を社名に込め、加藤さんは今年5月、キムさんが作るドレスを日本で提供する「ワンス(株)」を設立しました。

「日本人はドレスと聞くと、結婚式や華やかな社交場だけのものとイメージする方が多いと思うんですが、そんな固定概念を払拭し、もっと気軽に楽しんでほしいという想いをずっと抱いていました」。

コンテストで何度もドレスに袖を通していた20代の頃、自分の体のラインを計算されたオーダーメイドのドレスこそ、美しく魅せる“最高の魔法”だと気づいたという加藤さん。そんなドレスを着る喜びを伝え、ドレスを着る機会をもっと日常的にしたい。その想いが、キムさんのドレスとの出逢いによって現実のものとなります。

2016年2月、ミスコン出場者のサポートとして、ドレスを探しにアジアでも有数のオーダーメイド文化が根づくタイを訪れた加藤さん。バンコク中を歩き回った末、目にした瞬間にビビっと来たのが、キムさんのドレスでした。「シンプルなデザインなのに、圧倒的な存在感があったんです。そして、ドレスの“ライン”がとにかく美しかった。どのお店でも見たことがない独創的なデザインと繊細なあしらいに一目惚れし、キムにすぐ声をかけました」。そう熱を込めて語る加藤さんは、ドレスにおいてもっとも重要なのはラインだと断言。一人ひとり異なる体の構造に対して、カーブや装飾を“三次元”の中でいかに美しく魅せられるか。その理想を、キムさんは見事に形にしていたのでした。
デザイナー・キムさんが経営する「MARBELLA」はサイアム・スクエアワン1階にあります

ドレスアップする機会を
日本でもタイでも、もっと身近に

「僕のデザインは完全に独学です。けれど、世界中のファッションを研究し続け、最高の職人たちに巡り会えたおかげで、4年前に自分の店『MARBELLA』をオープンできました」とキムさんは振り返ります。パターン、ドレープ、縫製など、それぞれの職人技が結集して生み出されたドレスを目指し、タイはもちろん国外からもファンが訪れているのだそう。加藤さんは、その高いセンスとドレスに対する真摯な姿勢、飽くなき探究心に可能性を感じ、日本でのビジネスを決めました。

「ヨーロッパでは数十万円かかるオーダーメイド・ドレスが、キムに頼めば質を保ちながら1万Bから作ることができる。だからこそ、オーダーメイドに対する偏見を変えられる、もっと身近に感じられるようになると思ったんです。それに何よりも、出来上がったキムのドレスを見るとドキドキするんです」。加藤さんは現在、オンラインショッピングでのドレス販売や代官山にあるショップ「Juvi Juvi」での委託販売、ミスコンテスト出場者への衣装提供など、知名度アップに向けて邁進中。

「キムのドレスを大切に着てもらえるよう、まずはお試し会など顔が見える範囲から伝えていきたいですし、タイでもその魅力を発信していきたい」と加藤さんは言い、キムさんは「自分の服が日本で手に取ってもらえるなんて、ワクワクする」と目を輝かせます。そんな二人に改めて、オーダーメイドの魅力を問うと―――?

「世界に一着だけ、自分のために作られたドレスは、身に纏うだけでその人自身を美しく輝かせます。そして、そんな自分を知ることで自信が湧き、表情も華やかに変化する。そんな体験を、オーダーメイド文化が根づくタイで、ぜひ感じてほしいです」。加藤さんとキムさん。二人の物語は、まだ始まったばかりです。


PROFILE
加藤 忍
Shinobu Kato
1981年生まれ、新潟県出身。23歳からミスコンテストに出場し、35歳からは同出場者を衣装の面からサポート。2016年2月にキムさんと出会い、18年5月にそのドレスを日本で販売する「ワンス(株)」を設立。日本を基点に、年に何度もタイを訪問。タイの好きなところは、カラフルで繊細なセンスと優しくてソフトな人柄。モットーは「やりたいことは諦めない」。


MARBELLA
サイアム・スクエアワン1階で
唯一無二のドレスを提供
2014年に開業したオーダーメイドドレスショップ。タイ人デザイナー・キムさんのデザインを元に製作。タイをはじめベトナム、シンガポールなど近隣諸国の常連客が多数。商品はすべてハンドメイドの一点もの。オーダーは1万B〜(期間は10日〜2週間)。
[問い合わせ]
Time: 11:00〜20:00
Facebook:Once Dress Shop
Instagram:@oncedressshop/marbella_siam


編集部より
キムさんのお店に行くと、イブニングドレスからカクテルドレスまで、すべて試着するという加藤さん。「とにかく美しくて試したくなっちゃうんです!」と、自身がキムさんの一番のファンであることを教えてくれました(山形)

取材・文 山形 美郷


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  2. 空港というのは“いい気”に満ちているという。その理由は人が移動する所には活発な気運が集まるということらしく、それが空港であればなおさらだと思う。これから空を飛んで海外へ移動する人々が集まるわけだから、当然なのかもしれない。  さて、今ちょうど成田空港の出発ロビーで原稿を書いているのだが、数年前に比べて外国人の数は格段に増えているように感じる。空港内のインフラもどんどん更新されていて、Wi-Fiが簡単に繋がるようになったのはもちろん、スーベニアショップやレストランの充実ぶりにも目を見張るものがある。これはもちろん東京オリンピックを見据えてのことだと思うが、日本だってやればできるのである。保安設備もさらにアップデートされるそうだが、素晴らしく進歩を遂げたのがトイレのユニバーサルデザイン化だ。まだ完成途中だがその片鱗はすでに垣間見ることができ、変な話だがとても過ごしやすい空間となりそうな予感がする。  東京オリンピックが、いろいろな形でいろいろな場所を進化させていく。あの震災をきっかけにしてなんとなく暗かった成田が、もっと“いい気”に満ちてきそうなのは嬉しいものだ。
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