【中国】電力値上げ容認、基準値「最大1.2倍」に上限設定

【亜州ビジネス編集部】

中国国務院は8日の常務会議で、電力不足を解消するための複数措置を決定した。その一つとして、石炭火力発電の市場取引価格の調整幅を拡大する方針。

基準値からの引き上げ幅10%、引き下げ幅15%としていた従来規定を見直し、上限・下限ともに20%へと拡大する。エネルギー高消費産業向けの電力価格については、基準値の20%を超える値上げも認める構えだ。

常務会議は足元の電力・石炭不足により、一部地域で電力の供給制限が実施されている点に言及。正常な経済運営と住民の生活に影響を及ぼしていると指摘した。

その上で、下記などを実施する方針とした。

◆民生用天然ガス供給の拡大

◆安全生産を前提とした石炭の増産

◆石炭火力発電会社に対する税金優遇、金融機関による融資支援の提供

冒頭の電力価格については、一般世帯や農業、公益事業向け電力価格の安定を前提とし、一定の値上げを認める構え。このほか、風力発電、太陽光発電の建設も加速させる方針としている。

現地メディアによると、例えば山東省では、電力価格の基準値が1キロワット時(kWh)当たり0.3949人民元に設定されている。従来規定では、値上げの上限は0.4344人民元、値下げの下限は0.3357人民元となる計算だ。新規定では、最高0.4739人民元までの値上げが可能となる。

中国の電力需要は拡大し続けている。1〜8月にかけた年初来累計の消費量は、全国で13.8%増の合計5兆4704億kWhに拡大した。内訳は第1次産業が19.3%増の660億kWh、第2次産業が13.1%増の3兆6529億kWh、第3次産業が21.9%増の9533億kWh。居住者向けは7.5%増の7982億kWhと1ケタの伸びにとどまった。


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