【中国】「人口ボーナス」終了へ、生涯未婚率UPで少子化加速

【亜州ビジネス編集部】

国家衛生健康委員会・家庭司の楊金瑞・副司長は20日の記者会見で、晩婚化によって女性が生涯未婚となる可能性が高まり、少子化が加速するとの懸念を示した。

また、人口問題の専門家も同じ記者会見の席で、中国の「人口の窓」(人口ボーナス)が近く閉じるとの見解を表明。生産人口の増加によって経済成長が促進される時代は終えんしつつあるとの見方を示した。複数メディアが伝えた。

楊副司長は会見で、「90後」(1990年代生まれ)や「00後」(2000年代生まれ)など、結婚適齢期の人口で晩婚化が進んでいると指摘。その背景として、教育水準の上昇による就学期の長期化、就職圧力の増大などを挙げた。こうした状況に加え、養育コストの増加も出生数に影響を及ぼしているという。

楊副司長によると、出産適齢期の女性が望む子どもの数は、2017年時点で平均1.76人だったが、19年は1.73人、21年は1.64人と減少している。また、「出産最盛期」とされる20〜34歳の女性の人口は21年に前年比で473万人減少。第13次5カ年計画(2016〜20年)期間の平均値(340万人減)を上回るペースで目減りしている。

一方、中国人民大学・人口発展研究センターの宋健・副主任は会見で、0〜14歳の人口ウエートが低下し続けている現状に言及。「中国では依然として人口ボーナスの窓が開いた状態ではあるが、この窓は近く閉じるだろう」と述べた。

国家統計局が17日発表した21年の出生数は、前年比138万人減の1062万人だった。5年連続の減少で、1949年の建国以来の最少だったとみられている。中国では昨年、全ての夫婦に3人目の出産を認められたが、その効果は出ていない状況だ。

こうした中、楊副司長は今後も出産奨励に向けて各種の措置を実施する方針を示した。中国政府はこれまでに、3人目以上の出産に対して科していた罰金「社会扶養費」の廃止などを実施している。地方政府レベルでも、産休・育休制度の充実化などが進められている。


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