【タイ】7会合連続で政策金利引き上げ、9年ぶり高水準に

【亜州ビジネス編集部】

タイ中央銀行は2日の金融政策決定会合で、政策金利(翌日物レポ金利)を0.25ポイント引き上げ、2.25%に改めることを全会一致で決めた。利上げは7会合連続。金利は約9年ぶりの高水準に達した。中銀は今回の追加利上げについて、インフレ率が目標レンジ(1~3%)を下回っているが、低金利による景気刺激が長く続いたことを踏まえ、長期的に物価を安定させるために予防措置として実施したと説明。また世界経済の先行き不透明感が拭えない中、有事の緩和余地を温存できるとしている。

国内経済については、観光客流入で回復を続けていると説明。輸出は外需低迷で一時的に低調だが、次第に回復するとの見方を示した。一方でインフレについては、燃料価格の低下や政府の補助金、また前年からの反動減で落ち着いているが、エルニーニョ現象に起因する降雨の減少などにより食品・農産物で価格上昇の火種がくすぶっているとした。

タイの消費者物価指数(CPI)は2022年8月に7.9%と近年のピークに達したが、利上げ効果もあって23年6月には0.2%に減速。ただ2日付バンコクポストによると、セタプット中銀総裁は7月、CPIがゼロに近付いても中銀が進めてきた「段階的で計画的な金融正常化」を急に変更する必要はないとしていた。これについてカシコン・リサーチ・センター(KRC)のエコノミストは、「経済のダウンサイドリスクやゼロ%に近いCPIをみれば、利上げは今サイクルでこれが最後になるだろう」としている。

中銀は20年の年初から3度の利下げによって政策金利を0.75ポイント引き下げ、新型コロナウイルス流行下で過去最低水準の0.50%を維持。その後、22年8月に3年8カ月ぶりに引き上げ、それから7会合連続で利上げしている。


亜州ビジネスASEAN
https://ashu-aseanstatistics.com/

この記事をSNSでシェア!


一番上へ戻る