【タイ】23年の経済成長1.9%に減速、24年予測引き下げ

【亜州ビジネス編集部】

国家経済社会開発委員会(NESDC)が19日発表した2023年の実質国内総生産(GDP)成長率は、前年比で1.9%だった。3年連続のプラス成長となったものの、前年の2.5%から伸びが鈍化。同委員会が3カ月前に予測した2.5%も下回った。外需の低迷を背景に物品輸出が落ち込んだほか、新年度予算の成立の遅れで第4四半期に公共投資が大幅なマイナスとなった。同委員会は24年のGDP成長率予測を2.2~3.2%に下方修正。物品輸出が伸び悩み、消費が減速するとみている。

23年の物品輸出の成長率はマイナス2.8%。年間を通じてマイナス圏で推移し、3年ぶりに前年を割り込んだ。政府支出と公共投資もマイナス。また、民間投資は前年から伸びが鈍化した。一方、外国人観光客の来訪が増えたことでサービス輸出は38.3%と急伸。雇用の拡大や消費者信頼感の改善につながり、GDPの6割を占める個人消費は7.1%増と、前年の6.2%から加速した。

GDPを生産面から見ると、輸出低迷で製造業がマイナス3.2%となり3年ぶりに落ち込んだ。一方、農林水産業は1.9%、サービス業は4.3%とプラスを維持。サービス業では宿泊・食品サービスが18.0%と伸びが大きかった。

第4四半期の実質GDP成長率は前年同期比1.7%となり、前四半期(1.4%)からやや加速。物品輸出が3.4%と、5四半期ぶりのプラスに転じた。ただ、外国人来訪者数の伸びが鈍化し、個人消費は7.4%と前四半期から減速した。季節調整済み前四半期比のGDP成長率はマイナス0.6%と、9四半期ぶりのマイナスに転じた。

今回の結果を受け、同委員会は24年のGDP成長率を2.2~3.2%と予測。23年11月時点の前回予測の2.7~3.7%から引き下げた。物品輸出の伸び率(2.9%)を前回(3.8%)から下方修正。また、輸出と工業生産の伸び悩みを背景に個人の収入も低調に推移するとみて、個人消費(3.0%)の予測も引き下げた。一方、投資申請が増えていることから民間投資(3.5%)は上方修正した。


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