【タイ】1Qの経済成長1.5%に鈍化、内需減速・輸出低迷

【亜州ビジネス編集部】

国家経済社会開発委員会(NESDC)が20日発表した2024年第1四半期の実質国内総生産(GDP)成長率は、前年同期比で1.5%だった。前四半期(1.7%)を下回り、2四半期ぶりに減速。新車販売の落ち込みなどで個人消費の伸びが鈍化したほか、物品輸出が再びマイナスに転じた。新年度予算の成立の遅れで公共投資が大幅なマイナスとなったことも響いた。同委員会は今回の結果を受け、24年のGDP成長率予測を前年比2.0~3.0%に下方修正。物品輸出などの予測を引き下げた。

第1四半期の個人消費(6.9%)は前四半期の伸びを下回り、2四半期連続で減速。ローン審査の厳格化などで新車販売が低迷しており、耐久消費財(マイナス6.8%)がマイナス成長に陥った。

輸出(2.5%)も前四半期から減速し、うち物品輸出(マイナス2.0%)はピックアップトラックやドリアンの不振で2四半期ぶりのマイナスに転落。パソコン・部品などの輸出も落ち込んだ。一方、外国人観光客の増加で観光を含むサービス輸出(24.8%)は好調が続いている。

公共投資(マイナス27.7%)は前四半期から下落幅が拡大した。政府機関による建設投資は半減し、特に道路や橋などの建設が滞った。民間投資(4.6%)では、ローンの厳格化で車両への投資が落ち込んだ。

GDPを生産面から見ると、輸出低迷を背景に製造業(マイナス3.0%)が6四半期連続の前年割れとなった。公共投資の遅れが響いて建設業(マイナス17.3%)もマイナス。一方、観光関連の宿泊・飲食サービスや運輸・倉庫は10%前後のプラス成長となった。

季節調整済み前四半期比の成長率は1.1%。今回の結果を受け、同委員会は24年通期のGDP成長率を2.0~3.0%と予測。2月時点の前回予測の2.2~3.2%から引き下げた。物品輸出の伸び率(2.0%)を下方修正し、輸出不振で民間投資(3.2%)も伸び悩むとの見方を示した。一方、個人消費(4.5%)の予測は引き上げた。収入の拡大やインフレの緩和、消費者信頼感の改善が消費を押し上げると見込む。


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