信金中央金庫「グローバル戦略で可能性が広がる」 清田 直人

「グローバル戦略で可能性が広がる」

《プロフィール》
バンコク駐在員事務所 所長
清田 直人
せいた なおと
■1976年生まれ、神奈川県出身。日本大学卒業後、2000年4月に入庫。本部や営業店での業務、信用金庫への出向を経て、2017年7月より現職。
■座右の銘:克己心
■尊敬する人物:二宮尊徳
■趣味:アメフト・自動車レース観戦、音楽鑑賞
■休日の過ごし方:ゴルフ、食べ歩き
■バンコクの行きつけの店:焼肉・冷麺ヤマト、のんき屋、サンダービーフ、名代とんかつ かつくら、WAGYU SAMURAI


中小企業もASEANへの進出意欲は高いのでしょうか

そうですね。少子高齢化で人口減少が進む日本では、どうしても市場縮小の影響を受けざるを得ません。一方、タイを中心としたASEANのマーケットは非常に大きく、進出意欲は旺盛なように思われます。
タイにおいては、製造業の進出が一段落し、中高所得者層をターゲットとした飲食業等のサービス業の進出が続いていますが、米中貿易摩擦等による中国からの製造拠点の移管先としてタイを候補地として検討する動きも見られます。タイはサプライチェーンが構築されていますからね。

 

ASEANに限らず、海外進出は魅力的な部分が多くあります。ただ、海外に拠点を設ける企業から苦労話を耳にすることも多々あります。海外進出を検討する企業には良い話だけではなく、現場の生の声も一緒に届けるのが我々の使命と考えています。

 

駐在員事務所での業務は

主に信用金庫取引先の進出サポートや既往進出企業の現地でのサポートを行っています。具体的には、金融・経済といった現地情報の収集や提供、各国の現地提携銀行を通じた金融サービスなどです。バンコック銀行のほかにインドネシア、ベトナム、フィリピンの提携銀行には、当庫から出向者を派遣しているので、彼らと協力しながら進出企業を支援しています。
特に近年、力を入れているのがビジネスマッチングです。当庫は全国の信用金庫の取引先を支援している関係で、各地の企業を紹介できます。同じ地元の企業同士を引き合わせるだけでなく、特色が違う会社をマッチングできるのが強みです。

 

また、当庫では毎年2回、信用金庫の取引先同士のネットワーク構築を目的に、「バンコク信金会」と題したセミナー・懇親会を開いています。今年2月の第12回大会には149社、205人が参加し、個別マッチングなどにより交流を深められました。現在、信用金庫の取引先でタイに進出している企業は、およそ700社あります。当庫はその多くの企業と日頃お付き合いさせて頂いており、それゆえに幅広い業種、地域の企業が出会う場を提供できるのです。

 

タイローカル企業とのマッチングにも積極的ですね

タイ工業省と中小企業基盤整備機構と連携し、今年2月に「ローカル企業とのビジネス発掘商談会」を初開催しました。実は、日系企業の中で「タイ企業に取引先を拡大させたい」とのニーズが近年高まっています。当日は日系企業29社とタイローカル企業28社が参加し、72の商談を実施しました。この会を通じて、タイ側のマッチングニーズを確認できたという意味でも、意義深かったですね。

 

昨年6月には、タイの非営利団体である泰日経済技術振興協会(TPA)の会員と日系企業の商談イベントを開きました。タイの公的機関等と連携して商談会を開けるのも、信用金庫のセントラルバンクである当庫だからこそと感じています。

 

赴任から2年が経ちました

来タイ当初は初の海外勤務ということもあり、正直戸惑いがありました。プライベートでは一度旅行で来たことがありましたが、ビジネスとなると話は別ですから。ただ、実際に住んでみると、日本食も豊富にあって、苦労は少なかったですし、出張を通じて周辺国を見ると、バンコクの生活環境が恵まれていることを実感します。

 

今では本当に来てよかったと思っています。というのも、日本で勤務していた時は主に信用金庫と接していたので、「“国内で”どう工夫するか」を考えていました。ただ、タイに来て海外進出した企業と話をすると、ステージが日本に留まらないんですね。複数の国で事業を行うと、可能性が広がるということを学びました。

 

「国内企業数の99%超を占める中小企業の発展に、マクロな視点で貢献したい」との思いで当庫に入庫しましたが、今回の赴任はその目的を叶えるチャンスと捉えています。丁寧に、工夫を凝らしながら仕事し、日本の経済成長に寄与できれば幸いです。

 
清田所長(一番左)に加え、7月から伊藤次席(一番右)が仲間入り

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