年間の平均気温は29℃。高温多湿なモンスーン気候に属し一年中暑い日が続くタイは、寒さが苦手な人にとっては住みやすい環境だと言えるでしょう。ですがこれは虫にとってもまさに“楽園”。なかでも、私たちの生活圏のあらゆる場所に出没して、不快感や健康被害など良からぬ影響を及ぼす「害虫」は驚くほど逞しい生命力と繁殖力を合わせ持ち、時にはタイ生活を送るうえで悩みのタネになってしまうことも。
ひと口に「害虫」と言っても見た目や病害もさまざまですが、蚊が媒介となって発症する「デング熱」をはじめ命に関わる恐ろしい感染症もあります。気候と衛生環境も日本とは異なるタイの害虫対策を心得て、安心・快適な生活環境を整えましょう。
【ご注意】 殺虫剤はタイに来てから購入を◎
日本国内でも多種多様の殺虫剤や虫除けが販売されていますが、蚊やゴキブリなども生態や薬剤への耐性が日本とは異なるため、タイではタイで販売されている薬剤を使用してください。
また、飛行機には薬剤のスプレー缶を持ち込むことが禁止されているため(機内手荷物も預け荷物も)、日本からはスプレー缶を一切持ってくることができないので注意してください。
- タイ・バンコクの住まいと害虫事情 コンドミニアム高層階ではハチの巣に注意
- 覚えておくと便利なタイ語フレーズ
- 殺虫剤スプレーはありますか?
- 蚊帳を売っていますか?
- こんな害虫に要注意! 蚊が媒介となる「デング熱」には気をつけて! ゴルフやレジャーの際には「蟻」にも注意! 対策グッズの紹介も
- ヤブ蚊【発生シーズン:通年】
- デング熱の症状とは?
- お薦めの対策グッズ
- EARTH蚊取り線香
- 電気蚊除け
- 虫よけリング
- 蚊取りラケット
- もしも、デング熱にかかったら
- ダニ【発生シーズン:通年】
- お薦めの対策グッズ
- ダニ取りシート
- ゴキブリ【発生シーズン:通年】
- お薦めの対策グッズ
- 噴射型殺虫剤
- 置き型駆除剤
- 蟻【発生シーズン:通年】
- お薦めの対策グッズ
- アリの巣コロリ
- ハーブスプレー
- シロアリ【発生シーズン:通年】
- ネズミ【発生シーズン:通年】
- 実は“お邪魔虫”じゃない「ヤモリ」
- 「ヤモリ」を寄せ付けないスプレー剤なら!
- 忌避効果のあるタイハーブを上手に取り入れる
- バジル
- レモングラス
- ペパーミント
- ライム
- ユーカリ
タイ・バンコクの住まいと害虫事情
コンドミニアム高層階ではハチの巣に注意
前述のような気候条件に加え、不動産の建築品質、家庭ゴミの分別に関する意識の希薄さなどさまざまな要因が相まって、いわゆる高級物件や高層階でも害虫に遭遇するリスクがあります。とりわけ目撃頻度が高いのはゴキブリです。
家庭でできる対策としては、台所や洗面所といった水回りを清潔に保つ、引っ越しに使ったダンボールはすぐに処分する、エサとなる食べ物を室内に置きっぱなしにしない、ゴキブリが嫌う市販の虫除け(忌避剤)を活用する、などが挙げられますが、タイ生活の必需品であるエアコンの室外機やホースなど侵入経路も多く、まさに“神出鬼没”状態。一度出てしまったら、プロに駆除を依頼するのもひとつの手です。
また、高層階は高層階なりの心配の種も。というのも近年、コンドミニアムの高層階にハチの巣を作る例が増えています。これは日本のタワーマンションでも事例が多く、ちょっとした社会問題にもなっています。もし、バルコニーなどでハチの巣を発見したら、自分では手を出さずにプロに依頼するのがベター。気をつけてください。
在タイ日本人が暮らすコンドミニアムやアパートと呼ばれる賃貸住宅では、1〜2カ月に一度のペースで、専門業者による害虫駆除(ペストコントロール)が行われているのが一般的。駆除には人体やペットに影響の少ない薬剤が使用され、ロビーや通路といった共有エリアの他、各居住室内にも散布可能(費用は無料)。管理事務所で申し込みをできるところがほとんどなので、上手に活用するとよいでしょう。
覚えておくと便利なタイ語フレーズ
殺虫剤スプレーはありますか?
มีสเปรย์ฆ่าแมลงไหม(คะ/ครับ?)
ミー・スプレー・カーマレン・マイ・(カ/カップ)?
【殺虫剤=สเปรย์ฆ่าแมลง(カーマレン)】
蚊帳を売っていますか?
มีมุ้งกันยุงขายไหม(คะ/ครับ?)
ミー・ムン・ガン・ユン・カーイ・マイ(カ/カップ)?
【蚊帳=มุ้งกันยุง(ムン・ガン・ユン)】
こんな害虫に要注意!
蚊が媒介となる「デング熱」には気をつけて!
ゴルフやレジャーの際には「蟻」にも注意!
対策グッズの紹介も
水と食料が潤沢にあり、気温や湿度も快適そのもの。そんな住人にとって居心地の良い「住まい」は、残念ながら害虫にとっても絶好の「巣みか」でもあるのです。
家の中に「入れない」「増やさない」「刺されない」の三原則を忘れず、日頃から予防と対策を心掛けましょう。
また、自然を生かした観光スポットやゴルフなど、アウトドアでのレジャーに興じる機会も多いのがタイでの暮らし。そこには蚊や蟻などの「厄介者」が多いので要注意。基本は「刺されない」対策をしておくことです!
家族みんなで要警戒
ヤブ蚊【発生シーズン:通年】
現在、タイの保健省疾病予防局が常に注意喚起しているのが、いわゆる熱帯病としてタイ全土で警戒されている「デング熱(DENGUE/BREAK BONE FEVER)」。
2023年に入ってからのデング熱の猛威は特にすごく、保健省もさらに警戒を強めています。2023年の6月中旬までで合計1万9503人の感染が確認されており、17人が死亡。雨季に入ってから感染者数が急増していて、2022年同時期の感染者数の4.2倍もの数になっているとのことです。
デング熱はヤブ蚊(主にネッタイシマカ、ヒトスジシマカ)がデングウイルスを媒介することにより起こる感染症のひとつで、タイでは毎年数十万人が感染して、100人ほどが命を落としています。
ボウフラと呼ばれる蚊の幼虫は5〜9月にかけての雨季に発生しやすく、特に水辺やゴルフ場などでは要注意。屋外でのアクティビティには長袖を着用したり、虫除けを携帯するといった蚊除け対策が必要です。
また、一般的なタイの集合住宅には網戸が無いため、家の中に侵入しやすいのも難点。低層階に住んでいる場合は、蚊取り線香や蚊帳(タイ語で蚊はユン、蚊帳はムン・ガン・ユン)を用いるなどの工夫を講じましょう。デング熱は刺されないことが唯一の予防法です。
デング熱の症状とは?
- 2〜7日間の高熱が出る
- 体の関節が痛くなる
- 顔が赤くなる
- 体に小さい赤い斑点が出る
- 吐き気や嘔吐を繰り返す
- 腹痛を伴い食欲不振となる
※熱が下がった後、中毒症になる可能性もあるため、上記の症状が現れた場合は、ただちに医療機関の診断を受けてください。