流儀としての装い
時に装いは雄弁にその人を語る。
キャリアや生き方、あるいは生き方そのものを内包しながら、人となりを浮かび上がらせるのだ。
そんな装いと誠実に向かい合ったセレクトショップ「The Decorum」が、エムクオーティエに新店舗をオープン。
オーセンティックな紳士服店の佇まいと、高品質なアイテムへの憧憬がそこにはある。
そして、店内には「足元に革命を」というメッセージとともに、日本からやってきた注目の靴磨き店「Brift-H(ブリフトアッシュ)」が入った。
特別な空間を介した粋と本質の邂逅。そこは流儀としての装いに満ちている。
クラシックモダンを軸にライフスタイルを提案する
「The Decorum」
クラシックなメンズウェアへの真摯な愛から生まれたセレクトショップ、それが「The Decorum」だ。
現在の主流となっているトレンドとは異なり、クラシックモダンをメインに打ち出して品揃えをしている。
まるでヨーロッパの高級テーラーを思わせる店内には、オーナーが世界中から選び抜いた男性用と女性用のシャツや靴が並ぶ。
これまで高感度な街として知られる都内のアーリーとシンガポールで開業してきたが、ジェネレーションを超えたモダンなセレクトショップとして注目されてきている。
そして新たな旗艦店を、世界中から目の肥えた人々が集まるプロンポンのエムクオーティエで2023年4月にオープンさせた。
バンコクには数少ない本格派セレクトショップとして、目利きが選び抜いたアイテムを揃える同店は、立て続けにゲイソンビレッジへの進出も予定している。
注目アイテムは世界の名品を集めた靴
「The Decorum」にラインナップされているのは、単なるトレンドに左右されないクラシックモダンなアイテム。
ジャケット、パンツ、シャツなどを中心に上品なアイテムばかりが集められている。
日本で不動の人気を誇るシャツブランド「鎌倉シャツ」を取り扱っていることでも、そのセンスと見識の深さが見て取れるだろう。
そして特に注目したいのは、世界中から選び抜いたという靴のコレクション。
英国の老舗「John Lobb」をはじめ、「Edward Green」「Alden」「Crockett and Jones」「Gaziano & Girling」「J. M. Weston」「Fugashin」といった錚々たるブランドが揃う。
靴好きにはもはや“神の領域”と讃えられるような銘品がこれだけ集まるショップは、タイ全国を探しても同店だけだろう。
旅するようにファッションの海を航海し
物語を紡ぐように愛せるアイテムに出会う
同店のオーナーGuy氏は、若い頃から世界のテーラーやブティックへ足を運び、その土地の小さな店から話題のブランドまでをくまなく試着して見識と教訓を積んできたという。
そんなファッションの海を航海する旅はバイヤーとしての目を養いつつ、愛せるアイテムと出会うための物語でもあった。
その旅はまだ続いているが、Guy氏が求めているのは「若い世代にも歳を重ねた世代にも魅力的な“装いを通じた体験”」。
長い年月をかけてコレクションの糸を紡いできた経験を生かして、目の肥えた誰もが満足できる品質と高級感を兼ね備えたアイテムを提供している。
日本初の「足元革命」
「Brift-H」がエムクオーティエに
「日本の足元に革命を」。「Brift-H(ブリフトアッシュ)」はそんなモットーを掲げて2008年、長谷川裕也氏が東京・南青山の骨董通りに靴磨き店を開いたのが始まり。
今や日本だけに留まらず、世界中から靴愛好家が集まる“靴磨きブランド”として名高い存在になっている。
「Brift」とはBrighten Footwearが元になった造語。「H(アッシュ)」とはHuman, Hand, Happy, Home, Hospitalを表す頭文字。
靴磨きというとどちらかといえばファッション領域の中では日陰の存在だが、主人公的な価値あるものへと押し上げたのも同ブランド。
骨董通りの店には日本全国はもとより、世界中から靴の愛好家が高級ブランドの靴を持ち込む。
そんな「Brift-H」がプロンポンのエムクオーティエにある「The Decorum」の店内にオープンさせたのは、最高級の靴を取り揃える同店と同様の志を持ち、誰もが満足できる最高品質の靴磨きを提供していくためだ。
日本で磨き込んだ腕を持つ
孤高のタイ人職人が常駐
タイへ進出する多くのブランドは立ち上げ時に創業者や経験を持った人材がタイへ赴き、軌道に乗った時点でタイ人スタッフが引き継ぐという手法だ。
しかし「The Decorum」にある「Brift-H」には、開業時からタイ人の靴磨き職人を常駐させている。
その職人Rath氏は、同ブランドの創業者である長谷川氏に数ヶ月間に渡り師事し、靴磨きの技を徹底的に磨き込まれた逸材。
その腕前も確かなものだが、まさに職人気質だといえる。
日本で本当の技術と技を修行し、真の礼儀を身につけてきた。
日本と同等か、それ以上の品質とサービスをタイで提供したいという。
実際に南青山の店で日本人の顧客向けに毎日10足以上も靴磨きと、補修をやってきたRath氏。
“叩き上げ”という言葉がぴったりとはまる孤高の職人なのである。
同氏は日本の店舗でお馴染みの、顧客の目の前にあるカウンターで靴を磨くスタイルもやってのける。
自分が持ち込んだ靴がみるみるうちに蘇っていく様子を至近距離で見るのはまさに圧巻。
「Brift-H」が持ち前とするパフォーマンスでもある。
靴の仕上がりは、もちろん間違いない。
靴に命が吹き込まれるとはこのことで、情熱と挑戦する心に満ちた靴磨きは“作品”といっても言い過ぎではないだろう。
足元に革命を起こした男
靴磨きの初代世界王者“長谷川裕也”
「Brift-H」の創業者である長谷川裕也氏が靴磨きを始めたのは2004年のこと。
場所は東京駅丸の内北口の路上。
100円ショップで靴を磨くための道具を買い揃えて、友人と二人で靴磨きを始めたのが始まり。
風の吹くまま気の向くまま、それは日銭を稼ぐための手段だった。
靴を磨くことで手に入れたのは1日でおよそ7,000円。
悪くない金額である。
そんな路上の靴磨きは順調だったがやがて4年後に転機が訪れた。
それは靴磨きを含む露天商に対する規制。
路上で靴を磨くのはそろそろ限界だと判断した同氏だが、気がつけば“靴磨きの奥深さ”にどっぷりとつかっていた。
靴の持ち主がそれまでに経験してきたことをまるで吸い込んでいるかのように履き込んだ靴を蘇らせていく。
靴磨きの深遠な世界に魅了されていたのだ。
そして2008年、東京・南青山の骨董通りに小さな店を開店。
世界で初めてカウンターで靴磨きをするスタイルを導入した。
顧客はまるで舞台を見ているような手さばきを堪能できる。
2017年には、ロンドンで開催された「World Championship in Shoe Shining」で初代チャンピオンの座に輝いた。
靴磨きのマエストロの誕生である。
日本の足元に革命を起こしたいという大志は、いつしか「世界の足元に革命を起こす」という自信に飛躍。
元K-1王者の魔裟斗氏も「Brift-H」を利用した。
YouTubeの魔裟斗チャンネルでは実際に持ち込んだ3つの愛用靴を、長谷川氏が匠の技で磨き上げて再生していく圧巻の様子が映っている。
詳細情報 | |
名前 | The Decorum Bangkok |
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WEBサイト | |
Youtube | https://www.youtube.com/channel/UCPp-gT7U13nsTVj5H8dzN0A |
所在地 |
「The Decorum」エムクオーティエ店(2023年4月オープン)
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所在地 |
「The Decorum」アーリー店3 Arisamphan 5 Alley, Samsen Nai, Phayathai |
所在地 |
「The Decorum」ゲイソン ヴィレッジ店2nd Fl., Gaysorn Village, 999 Phloenchit Rd. |