H.I.S. TOURS

世界中の人に旅を楽しんでもらう これがマルチウェイツーリズム
マネージングダイレクター 中村 謙志  

《プロフィール》
なかむら・けんじ

■1971年生まれ。千葉県出身。1996年H.I.S.入社。2008年タイ現地法人赴任。現在に至る。
■愛読書:歴史書なら何でも
■趣味:ゴルフ、グルメ、旅行
■尊敬する人物:所ジョージ(尊敬というか生き方に憧れます)
■バンコクの行きつけの店:バーンナカタニ
■社用車または愛車:トヨタ アルファード
■座右の銘:為せば成る、為さねば成らぬ何事も
■休日の過ごし方:タイでは、ほぼゴルフしてます


 

御社の広告を見ない日はありません  
当然ながら、進出(1997年)したばかりの頃は、認知されていませんでした。最初は、タイを訪れた日本人向けにバンコクからヨーロッパやインドといった国際線チケットを発券するのが役目でしたね。弊社は個人向けの格安チケットの手配をメイン業務として成長してきました。当時はインターネットもなく、日本からの国際便の航空券は高額で、一度海外へ行き、現地で別の目的地のチケットを手配した方が値段を抑えられたので、現地手配が重宝されたのです。

 

いまや個人旅行者が主流で、先見の明ですね 
タイにおいては、日系企業の進出増とともに、在タイ日本人への国内外のパッケージツアー需要が高まっていき、タイ人に対する個人向け航空チケット販売と同様に成長させていただきました。トレンドとしては、自ら航空券とホテルを予約する個人旅行者が多いのですが、家族で旅行するとなると、年末年始休暇や祝日を含む連休となるため、航空券も割高になりパッケージを選ばれる方は多いですね。旅行先も「駐在中に家族で一度は行きたい」とモルディブやアンコールワット、プーケットなどの定番の旅先の人気も衰えません。

 

旅先のトレンドは変わらないと  
トレンドが変わらないというより、定番旅行先はそのままに、ニーズが細分化されていると言った方が正解でしょう。一昔前は、休暇といえばビーチリゾートでしたが、最近は、これまで日本人が訪れなかったタイ国内旅行を求める声も増えています。例えば、ランナー王朝以降、北からチェンライ、スコータイ、アユタヤと南下してきたタイ王朝の変遷、すなわち、タイの歴史文化の地を訪れる人も多くなっています。ほかにも、タイの伝統的な祭り体験を求める人もいます。

 

それを、可能にさせるのが旅行会社ということですね
弊社の企業理念に、ツーリズムを通じて世界の人々の見識を高め、異国の文化に触れあうことで、世界平和、ひいては、相互理解に貢献するとあります。それを実践しているのに過ぎません。そのお手伝いをするのが仕事であり、使命となります。

 

事業領域は広がりますが
日系マーケットは当然ながら、ローカルに目を向けるとタイは、インバウンド主体の観光業はもちろん、訪日旅行を中心としたアウトバウンドも発展してきています。前述しましたが、これまで弊社は海外拠点をつくり、「日本のお客様をきちんとご案内する」。これが第一ステップでした。当然ながら、企業のグローバル化はローカルに根付かなければ意味がありません。それぞれの国でエイチ・アイ・エスを発展させることが私のミッションです。日本とタイのツーウェイ。そして、これからは、世界各国の弊社現地法人ネットワークを生かした、マルチウェイツーリズムの時代です。例えば、ASEAN諸国から現地法人を通して、タイに訪れた各国の旅行客をタイ(現地)で手配する。つまりは、国や国籍を問わず世界中の旅行者がお客様となるわけです。

 

法人事業はいかがですか
個人向けサービスを柱に成長してきたこともあり、出遅れ感は多少なりともあるでしょう。ただ、(個人向け)同時に世界展開を進めてきたことが功を奏し、「日本の旅行会社で世界各国にある」という認識が浸透していることもあり、多くはありませんが、営業せずとも、タイのローカル企業から依頼を受ける場合もあります。

 

ブランディング力はリクルーティング力にもつながります
仰るとおり、事業拡大とともに、タイ人スタッフの増員も順調に進んでいます。長く働いてくれるスタッフの成長もあり、タイ全土で28支店(8拠点)を設け、現地法人としての基盤もそれなりに盤石になりつつあります。

 

タイ赴任は7年目を迎えたそうですね
振り返れば、デモ、洪水、クーデターと激動の赴任生活でした。それでも着実に事業拡大を続けられたことは、スタッフのおかげです。社員規則を新たに作ったり、独自のマネジメントを施してきましたが、育ったマネージャークラスが本当によく(部下を)教育してくれているのを感じます。初の海外赴任で初の法人トップという役回りは、まだまだ試行錯誤の過程です。最初は、自分の無知・無能ぶりに呆れ、それでもタイで事業をするということは、止まらない成長に付いていくしかありませんでした。


 

編集後記
もはや死語だろうか。ベンチャーの先駆けとして、ソフトバンク孫正義社長、パソナ南部靖之社長とともにベンチャー三銃士と呼ばれたH.I.S.の澤田秀雄会長。同社は、旅行業界にとって黒船だったかもしれない。だが、日本人の海外旅行(個人)を身近にさせた立役者であることは間違いない。タイ人の訪日需要増は周知の通り。バンコクの街を歩けば同社の看板。中村氏は現法トップ。そうであれば、同氏もまたタイにおける立役者であっても間違いではない。(北)

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