【中国】全人代で21年GDP成長「6%以上」、コロナ前回復めざす

【亜州ビジネス編集部】

中国北京市の人民大会堂で5日、第13期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第4回会議が開幕した。11日まで開催される。

李克強・首相は冒頭の「政府活動報告」で、2021年の国内総生産(GDP)成長率目標を「6%以上」とする方針を表明。昨年は新型コロナウイルス流行の影響で異例の目標未設定となっていた(実績は2.3%)。

その前年に当たる19年の目標値が「6〜6.5%前後」、実績が6.1%だったことから、今年はコロナ流行前の水準回復を目指す構えだ。市場関係者の間では、「コロナ禍の反動を考慮すれば、非常に保守的な数字」との声も聞かれる。

一方で、21年は第14次5カ年計画(21〜25年)の初年度に当たる重要な一年だが、同期間中の成長率目標は提示されておらず、「極めて異例」と指摘されている。前回の5カ年計画では、初年度の全人代で「年平均6.5%以上」との目標を示していた。新型コロナウイルスの世界的な流行や米国との摩擦長期化などを考慮し、先行き不透明感が強いことを考慮したものとみられている。

その第14次5カ年計画では、科学技術の「自立自強」を国家発展の戦略的な支えとする方針などが示された。そのために、社会全体の研究開発費を年平均7%以上増やすとの数値目標を設定している。また、サプライチェーンの現代化や戦略的振興産業の発展を促し、「数字中国(デジタル中国)」を構築するとの構想を掲げた。

このほか、政府活動報告では21年の財政政策について、対GDPの財政赤字比率を「3.2%以上」とする方針が示された。前年目標の「3.6%以上」からは下方修正されたが、依然として高水準を維持している(同比率の目標値が3%を超えたのは統計を遡れる範囲で20年が初めて)。一方、コロナ禍を受けて昨年発行した特別国債については、今年は発行する計画がないことを明らかにした。

政府活動報告で示された21年の政策主旨は次の通り。

【数値目標】消費者物価指数(CPI)の抑制目標は3%前後(前年目標は3.5%前後)とする。雇用面では、都市部の新規就業者数を1100万人以上(同900万人以上)、都市部の調査失業率は5.5%前後(同5.5%前後)を目指す。輸出入は安定と質向上を目指し、国際収支の基本的にバランスの取れた状態を目指す。GDP単位当たりエネルギー消費率は3%前後、食糧(穀物、豆類、イモ類)生産量は1兆3000億斤(=6500億キロ、前年実績は1兆3390億斤)以上を確保する。

【財政政策】積極的な財政政策をより効果的なものとし、より持続可能なものとする。対GDPの財政赤字比率は3.2%前後とする方針で、昨年予算から引き下げる。防疫対策として昨年発行した特別国債(予算1兆人民元)は、今年は発行しない。

【減税政策】引き続き減税政策を実施する。小規模納税人の増値税課税最低限を10万→15万人民元に引き上げ、少額納税者に対する税金免除を拡大。小規模企業については、課税所得が100万人民元を超過しない部分に関しては、既存の優遇政策を維持した上で、さらに所得税半減を実施する。

【金融政策】穏健な金融政策をより機動的で適度に行う。実質貸出金利をさらに引き下げ、金融機関による実体経済への利益譲渡を引き続き誘導する。マネーサプライ、社会融資総額の伸びを名目経済成長率に見合ったペースに維持させるほか、人民元相場を合理的でバランスのとれた水準で基本的に安定させる。

【企業負担の軽減】工業・商業向け電気料金の引き下げを継続し、中小企業向けブロードバンドの平均料金を10%引き下げる。「港湾建設費」を撤廃するほか、「民航発展基金」の徴収基準を20%引き下げる。

【内需の拡大】複数チャネルを通じて住民所得の向上を図る。電子商取引(Eコマース)や宅配の農村での浸透を加速させ、農村エリアの消費を拡大させる。自動車や家電などの消費安定に向け、中古車取引に絡む不合理な規制の廃止、駐車場・充電スタンドなどの増設を急ぐ。ヘルスケア、観光、スポーツなどのサービス消費を発展させる。

【投資の拡大】地方政府の「専項債(公益事業向け資金調達を行う特別地方債)」発行枠は3兆7500億人民元とする(前年予算は3兆7500億人民元)。中央予算内では6100億人民元を投資(前年予算は6000億人民元)。投資先については、交通、エネルギー、推理などの従来インフラに加え、「新インフラ(次世代通信ネットワークなど)」「現代物流システム」の建設・発展を図る。このほか、老朽小区(団地)8万3000件の改造を進める。

【対外開放・外資利用】外資参入のネガティブリストを引き続き縮小すると同時に、越境サービス貿易のネガティブリスト制度を実施する。「海南自由貿易港」の建設推進、自由貿易試験区の改革・イノベーション、海関(税関)特殊監督管理区と自由貿易試験区との融合的な発展などを図る。

【カーボンニュートラル政策の推進】新エネルギーの発展に注力すると同時に、安全を確保するという前提の下、原子力発電の発展を促す。排出権取引市場の建設を加速させる。

【不動産政策】「住宅は住むためのもので、投機の対象ではない」との基本方針を堅持する。土地供給を拡大するほか、不動産賃貸にかかる税金費用の引き下げなどを通じ、若年層などの住宅難問題の改善に努める。


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