【中国】ソーラー発電用シリコン素材、需要拡大で高値推移

【亜州ビジネス編集部】

政策の追い風が吹くなか、太陽光発電用シリコン素材が高値圏で推移している。中国有色金属工業学会のシリコン分会によると、今週の単結晶シリコン取引価格は、トン当たり平均21万1000人民元(約356万円)に達した。前週比で1%値上がりしたという。中国証券報が3日付で伝えた。

需要の伸びを背景に、多結晶シリコン生産企業(国内12社以上)は今月、合算で4万3000〜4万4000トンを生産する見通し。増産を進めているものの、依然として供給が間に合わない状況という。

シリコン素材の需要は、足元で拡大が目立つ。北極星太陽能光伏網(GUANGFU.BJX)の資料によると、今年1〜8月にかけた太陽光発電用シリコン素材の国内長期購入契約は、累計で145万8000トンに達した。すでに2020年の年間実績(85万5300トン)を70.71%上回っている。うち中国企業の購入契約は131万550トンに拡大した。

国家能源局は1日、エネルギーのクリーン化を押し進めるよう、改めて各当局に要求。二酸化炭素(CO2)排出量ピークアウトを達成するために、2021〜25年にかけてクリーンエネルギー基地、洋上風力発電などの整備を加速させる方針を示した。

河南省政府は1日、屋上発電能力の増強計画を公表。66県・市・区の建物屋上2億4000万平方メートルにソーラーパネルを新設すると宣言した。直接的な投資額でも600億人民元に上る見込み。1500万kW(大型原発15基相当)の発電能力を新たに整備するという。年間発電量は150億kWhに達し、石炭450万トン相当の消費が省かれるとの試算を明らかにした。優遇料金制度の導入を通じ、企業や業者は6億人民元の支出減につながると想定。屋上を利用させることで、不動産保有者は12億人民元の増収につながるとの見方を示した。

河南省だけでなく、山西省、甘粛省、河北省、浙江省、湖北省などの地方政府もクリーンエネルギー電源の開発計画を相次ぎ打ち出している。県レベルの試行エリアを指定し、建物屋根にソーラーパネルを設置するよう求めた。

専門家によると、今年のソーラー発電の新設容量は、世界全体で150〜170GW(1億5000万〜1億7000万kW)に膨らむ見通し。さらに22年は200GWを超えると予測されたという。


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