【アセアン】22年の東南ア経済成長5.1%予測=アジア開銀

【亜州ビジネス編集部】

アジア開発銀行(ADB)は14日発表した「アジア経済見通し2021年版」の補足版で、東南アジアの2022年の国内総生産(GDP)成長率予測を5.1%とし、9月の前回発表の5.0%からやや引き上げた。新型コロナウイルス変異株の影響が懸念されるものの、活動制限の緩和などで経済の回復が続くとみている。一方、21年の予測は3.0%とし、0.1ポイント下方修正した。デルタ株の流行で第3四半期に経済が悪化したベトナムとマレーシアの予測を引き下げた。

ベトナムのGDP成長率は21年が2.0%、22年が6.5%と予測。21年については第3四半期の厳しい活動制限に起因する労働力不足や、その後の新型コロナ感染再拡大の影響もあり、第4四半期の回復が遅れていると指摘した。ただ、22年はワクチンの普及拡大で高成長を見込めるとし、予測を据え置いた。一方、ベトナムと同様に厳しい活動制限が敷かれたマレーシアについては21年、22年とも下方修正した。

タイの成長率は21年が1.0%、22年が4.0%の見通し。消費は低迷しているものの、輸出や政府支出が予想以上に伸びていることを受け、両年とも予測をやや引き上げた。

インドネシアは21年を3.5%に据え置く一方、22年は5.0%に上方修正。活動制限の緩和により、21年第4四半期には消費や投資が活発化し始めたとみている。また、商品輸出の拡大が経済成長の原動力になると見込む。

フィリピンの予測は21年が5.1%、22年が6.0%で、ともに上方修正。個人消費と民間投資が経済成長をけん引しており、景況感の改善や新型コロナ感染数の減少も高成長を促す要因になるとみている。

東南アジア以外も含むアジア開発途上国全体の成長率予測は21年を7.0%、22年を5.3%とし、共に0.1ポイント引き下げた。ジョセフ・ズベグリッチJr.チーフエコノミスト代理は、「21年第3四半期に発生した新たな感染拡大がGDPの成長を鈍化させ、オミクロン株の出現がさらなる不確実性をもたらしている」と説明した。


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