【中国】中国新車市場で新たな価格競争、VWやGMが値下げ告知

【亜州ビジネス編集部】

中国の新車市場で新たな価格競争が勃発している。価格引き下げの動きは、湖北省で3月に実施された消費刺激策に続く今年2度目。今回はフォルクスワーゲン(VW)系やゼネラル・モーターズ(GM)系が仕掛けた。中国の各自動車ブランドは、値下げによる販売実績積み上げ、または価格保持による利益確保の二択を迫られている。21世紀経済報道が20日付で伝えた。

一汽大衆(一汽VW)は7月6日、「ID.」ファミリーの電気自動車(EV)値下げを告知。売値を15万5900人民元(約304万8000円)からに抑えた。うち「ID.6 CROZZ」に関しては、最大の値下げ幅を8万7000人民元に広げている。

上汽大衆(上汽VW)も同じく6日に値下げを発表。純電気自動車モデル「ID.3」の売値を最大3万7000人民元引きの12万5900人民元からに設定した。上限3000台で7月31日までの販売促進イベントとする。

「ID.3」のドイツ販売価格は3万9995ユーロ(約32万3000人民元)と高い水準だ。今回の値下げを通じ、中国価格はドイツの39%にまで調整される。逆に言えば、ドイツで1台購入する額で、中国では2.6台が購入できる計算だ。

上海汽車グループも値下げに

上海汽車(上汽)グループも値下げに参戦している。上汽通用(上汽GM)は10日、「キャデラック」ブランドの純電動SUV「リリック」を値下げ。全モデルを6万人民元ずつ価格調整した。最低価格は38万人民元を切る。また、8月31日まで別の割引優遇を適用することで、最大の値引き幅は8万人民元を超えた。

上汽傘下の「MG(名爵)」ブランドは7月12日、時限販売促進イベントとして、2万4000人民元の現金優遇を設けると発表。7月31日までの「MG MULAN」時限価格を11万5800人民元からに引き下げると告知した。同じく上汽傘下の「栄威(Roewe)」ブランドも14日に値下げを宣言。ハイブリッドモデル「eRX5」の価格を12万9900人民元からに下方修正した。2万4000人民元の値引きとなる。

このほか東風日産や広汽本田(広汽ホンダ)も価格引き下げに動き出した。東風日産は一部モデルで最大2万9000人民元、広汽本田も一部モデルで2万人民元ずつ値下げしている。中国の自動車業界では現在、多数のメーカーが価格戦略を練り直しているところだ。

中国汽車工業協会(CAAM)は今月8日、自動車メーカー16社と先ごろまとめた「自動車業界の公平な市場秩序維持の承諾書」について、「異常な価格で市場の公平な競争秩序を乱さない」とする項目を撤回すると発表した。「価格設定」に言及したことは不適切で、独占禁止法が定める原則に反すると説明。これら16社(BYD、第一汽車、東風汽車、上海汽車、重慶長安汽車、北京汽車、広州汽車、中国重汽、奇端集団、江淮汽車、吉利汽車、長城汽車、蔚来集団、理想汽車、小鵬汽車、米テスラ)、理想汽車、小鵬汽車)や他の加盟企業に対し、独禁法を順守し、独自の価格設定で公正に競争するよう求めた。


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