【タイ】9月の物価上昇0.3%、食品が2年ぶりマイナス

【亜州ビジネス編集部】

商務省が5日発表した2023年9月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年同月比で0.3%だった。前月(0.9%)から減速し、3カ月ぶりの低水準を記録。野菜や豚肉の供給増で食品価格が約2年ぶりに下落したほか、新政権による電気料金や軽油価格の抑制も指数を押し下げる要因となった。振れ幅の大きいエネルギーと生鮮食品を除くコア指数の上昇率は0.6%と、1年8カ月ぶりの低水準だった。

分野別では食品・非アルコール飲料(マイナス0.1%)が21年10月以来のマイナスに転落。好天で出荷が増えた生鮮野菜(マイナス3.9%)や、前年同期に高騰していた生鮮肉(マイナス16.5%)、油脂(マイナス17.3%)などが値下がりした。

食品以外では、新政権が料金を引き下げた電力(マイナス4.9%)が4カ月ぶりに前年を割り込んだ。一方、車両用燃料(3.7%)は前月から伸びが加速。政府が軽油価格の抑制策を導入したものの、原油価格が上昇する中で7カ月ぶりの高水準となった。

1~9月のCPIは前年同期比で1.8%上昇した。同省は7月初めに年間のCPI上昇率予測を1.0~2.0%に下方修正しており、範囲内に収まっている。同省は10~12月についても伸び鈍化が続くと予測。食材価格が低下傾向にあるほか、政府の生活支援策で必需品などの価格が下がるとの見方を示した。一方、物価を押し上げる要因として、観光業の回復や農家の所得向上、賃金の上昇、エルニーニョ現象の影響による国外の農産物価格上昇、バーツ安などを挙げた。


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