【亜州ビジネス編集部】
トランプ米大統領は2日、ベトナムとの貿易交渉が妥結したと発表した。自身の交流サイト(SNS)に投稿したもので、ベトナムからの輸入品には一律20%の相互関税を課すことで決着したと説明。4月に発表した46%から大幅に引き下げた格好だが、現在各国に暫定的に課している一律10%の2倍に当たる。各紙が同日付で伝えた。
投稿は同日行われたトー・ラム共産党書記長との電話会談を受けたもの。トランプ氏は、ベトナムからの全ての輸入品に20%を課税し、第3国からベトナム経由で輸出される「積み替え品」には40%を課すとした。
一方で、ベトナムが見返りとして「米国製品に対して市場を開放し、ゼロ関税で受け入れるだろう」と強調。「ベトナムが米国製品に対して市場をフルに開放するのは前例のないこと」とした上で、「米国で人気の大型エンジンを積んだスポーツ多目的車(SUV)がベトナムへの輸出ラインナップに加わるだろう」と期待を示した。
米国は2024年、対ベトナム貿易で1220億米ドルの貿易赤字を計上。中国、メキシコに次いで3番目に赤字規模が大きく、トランプ氏は相互関税の導入によってこの不均衡の是正を目指していた。
相互関税制度は、トランプ政権が貿易不均衡是正を目的として各国向けに打ち出したもので、4月の発表では東南アジア各国に対する税率をカンボジアが49%、ベトナムが46%、タイが36%などとしていた。直後に3カ月の猶予期間が設けられ、全ての対象国に対して暫定的に10%を適用。この猶予が終了する7月9日を前に、各国は交渉に臨んでおり、交渉妥結は英国に続いてベトナムが2カ国目とされる。
一方、トランプ氏が最も注視する中国とは、5月まで関税率が頻繁に変動するなど綱引きが続いていたが、同月12日に10%の暫定税率を適用。交渉妥結の期限は8月12日とされており、最終的な合意が成立するかどうかに注目が集まっている。
なお米国とベトナムの両首脳による今回の電話会談では、通商分野にとどまらず、今後の包括的戦略的パートナーシップ強化に向けた方針も協議された。その中で、首脳級を含むあらゆるレベルでの交流促進や、科学技術など重点分野での協力拡大で一致。また、ラム書記長は米政府に対し、ベトナムの「市場経済国」認定と、一部ハイテク製品への輸出規制撤廃を求めたとされている。





