【中国】新登場の「自動運転車保険」、メーカー11社が投入

【亜州ビジネス編集部】

スマートドライブ専用の保険商品「智駕険(自動運転車保険)」が中国に相次ぎ登場している。今年に入り比亜迪(BYD)、華為技術(鴻蒙智行:Harmony Intelligent Mobility Alliance)、小鵬(XPeng)など合計7社が新たに打ち出し、スマート運転支援リスクをカバーする取り組みを強化した。ただ、実際の運用は、保険金請求が不成立に終わる事例もあり、スマート運転の責任認定や補償問題が複雑である事実を示している。広州日報が12日付で伝えた。

最近では自動車世界大手のBYDが今年7月、「スマート駐車に絡んだ事故は、会社側が賠償する」と発表している。自社開発の運転支援機能「天神之眼(God´s Eye)」を搭載したBYD車のオーナーに対し、自動駐車支援機能を使用中の事故について、その責任を全面的に負うと約束した。駐車支援機能を使用中に発生した安全上の問題や、車両側に法的責任のある損害について、保険会社を通さず、BYDのアフターサービスに直接連絡することで補償を受けられる。保険会社を通さないため、オーナーの翌年の保険料率(等級)には影響しないと説明した。

中国の自動車メーカーは、足元までの累計で11社が自動運転車保険を導入している。保障額は100万~600万人民元の範囲だ。一部のメーカーは保険会社と直接提携しているが、自社の延長保証サービスに近い形態で補償している例もある。これら多様な自動運転車保険、補償、またはサービスの目的は、いずれもスマート運転システムのリスクを引き受け、消費者が利用する際の不安を取り除くことだ。料金面では、広州汽車(GAC)や鴻蒙智行は初年度無料でユーザーに提供し、小鵬汽車は年間239人民元を徴収する。

ただ、自動運転車保険の保障は一見すると魅力的だが、実際の適用では消費者が困難に直面することもある。自動車メーカーが裁定者で、責任認定に「グレーゾーン」が残るためだ。ある新エネルギー自動車(NEV)のオーナーは今年4月、スマート運転支援システムが急にブラックアウトし、衝突警報が作動しないなどの不具合に関して賠償を求めたが、メーカー側に拒否されたという。当事者のオーナーによると、メーカー側からは、補償条件を今回満たさないと告げられた。事故はスマート運転と無関係と判断されたため。運転者がハンドルを動かしたため支援システムが解除され、運転者自身による操作に戻ったと見做されたという。

業界関係者は、この事例がスマート運転事故の責任認定の矛盾を浮き彫りにしていると指摘する。自動車メーカーはルールの制定者であると同時に裁定者でもあるという構造が生じているためだ。こうした事態は、車両事故の責任割合の判定でも客観性を欠いた結果をもたらす。


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